こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。今日は「カカオパルプ」、「カカオの果肉」とは何か、について解説します。
カカオパルプとは?
結論からいうと、カカオパルプとはカカオの実の中に入っている、カカオの種を包む、果肉部分のことです。
下の写真をご覧ください。カカオ生産国で、収穫されたカカオの実(ラグビーボールのような形)を割って、中をみると、たくさんの種が入っています。

赤い丸のところ。白い果肉につつまれた種がぎっしり詰まっています。この白いところがカカオパルプ。
「カカオの果肉」「カカオパルプ」「カカオフルーツ」と呼ばれることもあります。きれいに、上半分のカカオのシェル(殻)をはずしてもらったのが、この写真。中がよく見えますね。
カカオパルプの色や食感は?

カカオパルプは、先にも説明したとおり、白いです。そして食感は、とろーりとしています。写真でもカカオ豆に、白い果肉が、うすく種を包んでいるのがわかると思います。
写真でもとろーり感がわかりそうですが、こうしてとろりとしているのは、現地ならでは。種は放っておけば、少しずつ乾燥していってしまうのです。
ちなみに写真は私が、メキシコのカカオ農園で撮影したものです。生産国へいくと実感としてわかるのが、カカオは果物(フルーツ)なんだな、ということ。こうして、フレッシュなカカオの果肉をみたり味わったりできるのは、カカオが育っている場所だけです。
カカオパルプの味は?
味はどうかというと、カカオパルプは甘酸っぱいです。
私個人的には、とにかくもうおいしくておいしくて。一粒つまんで口にいれ、果肉を味わって、種から剥がすようにジューシーな果肉を楽しみます。
チョコレートの味は全くしなくて、ライチやりんご、ローズのような華やかな風味。私はカカオパルプの味が、大好き。カカオ産地取材では、カカオの種を味わうのが楽しみのひとつです。
現地の方ともよくお話ししますが、子供たちもときどきこの食べをつまんで、おやつのように味わうのだそう。
日本で購入できるのは、このカカオパルプをピューレに加工したものですが、たとえば、エクアドルのカカオパルプなどは、手軽に買えることもあります。(東京FMの番組でご紹介したところ、とてもおいしいと好評でした)
カカオパルプをゼリーにしたものも美味しいです。これは、市川歩美監修のナチュラルローソンのケーキにあしらったので、覚えている方も多いかもしれません。
カカオパルプをジュースに
近年、カカオの果肉(カカオパルプ)を使ったドリンクを、日本でよく見かけるようになりました。果肉だけをあつめて、絞ってジュースにしたものです。
現地のカカオパルプの味、そのものがジュースになっているので、ぜひ味わってほしいメニュー。ビーントゥバーチョコレートブランドではすでにおなじみ。サイズもスタイルもいろいろです。
カカオパルプは身近に
カカオパルプが、近年話題になっていますが、実は元祖!といえる方がいました。そんなことも含めて、サロン・デュ・ショコラ公式サイト向けに、市川歩美が書いた記事が以下です。
●参考記事
2015年に、私がサロン・デュ・ショコラ 公式サイトに寄稿した記事
フルーティな風味に驚き。カカオパルプを使ったドリンクとは? (text 市川歩美)
(サロン・デュ・ショコラ日本公式サイト)
2015年に書いたので、当時のチョコ上級者向けの内容ですが、その後も「覚えてます」「読みました」「参考にしました」というお声をいただきます。(一点記事内の補足、カカオの果肉は発酵のために使われる一方で、果肉が取り除かれ、種の部分だけが使われることが多々あるのです)
上の画像は、当時撮影した、ビーントゥバーチョコレート専門店「Minimal」のカカオの果肉ドリンク。カカオの果肉以外、なにも混ぜずにストレートです。
カカオパルプの裾野が広がっている理由は、チョコレートの原材料・カカオへの注目度の高まったから、日本でカカオパルプが流通するようになったからです。
カカオパルプの日本の元祖「オリジンーヌ・カカオ」
そんな「カカオパルプ」ですが、実は先駆者がいます。私はなんと2004年には、既に自由が丘で味わっておいしいなぁと思っていました。その当時、すでに自由が丘の「オリジンーヌ・カカオ」で、メニューになっていたのです。(長いチョコレート愛好家さんなら、ご存知ですよね)
川口行彦シェフは、早い段階から一般の方に「カカオパルプ」を伝えていました。まさにブランド名のとおり、カカオのオリジンを辿ってくださっていたのですね。
川口さんは、日本のショコラティエのパイオニアであるだけでなく、「カカオパルプ」の先駆者でもあります。
●参考記事
自由が丘「オリジンーヌ・カカオ」(現在は閉店)の情報は、私が過去に書いた記事があります。
「オリジンーヌ・カカオで夏ショコラ」(text 市川歩美)

ライチやりんご、ローズのような風味。甘酸っぱくて、細胞がいきいきするなぁ、なんて自由が丘のカウンター席でひとりにっこりしていた時代を、思い出します。
ゴディバがカカオパルプ商品を発売・通販も!
カカオパルプ・最新ニュースといえば、ゴディバです。
今週から全国のゴディバで、カカオフルーツジュースの販売がはじまりました。カカオパルプを使ったジュースで、全国で販売されるのが素晴らしい。別途記事にしますが、日本人が「カカオ」を認識するチャンスですね。
カカオパルプについて、参考になりましたか?甘酸っぱくて、夏にふさわしいカカオアイテムでもあります。今後もどんどん、カカオパルプについて情報発信したいと思っています。
text & photos
チョコレートジャーナリスト 市川歩美


*2019年のナチュラルローソンのクリスマスケーキは、市川歩美監修。カカオパルプゼリーを使いました。
