BY AYUMI ICHIKAWA

サステナブルチョコレートとは何か?

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ショコラコーディネーター®/チョコレートジャーナリスト®
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こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。

2015年9月に国連でSDGsが採択され、チョコレートの原料、カカオを生産する国々の現実に一層光が当たるようになりました。「サステナブルチョコレート」「サステナブルカカオ」という言葉について、かんたんにまとめ、関連記事をリンクします。

収穫されたカカオ(台湾で市川歩美撮影)

サステナブルカカオとは?

 

まず、サステナブルカカオとは、カカオ生産国の、カカオ農家の方々の生活向上が考慮され、そして、地球環境にも配慮した生産方法で育ち、収穫されたカカオ豆のことです。

サステナブル(Sustainable)=持続可能な、耐えうる
sustain (維持)が able(できる)
なので、

サステナブルカカオは「(地球のために、カカオ生産者のために、今だけでなく未来の世代にも)持続可能な方法で栽培されたカカオ」ともいえます。

・カカオ生産者の貧困(生活に十分な収入を得られない)
・カカオ生産者の子どもが学校に通えず、教育を受けられない
・カカオ農園で子どもが、過酷な労働を強いられている(児童労働)
・生産者の高齢化による、後継者不足

カカオ産地には、上記のようなさまざまな問題があります。

それらを解決するための支援・方策が行われた上で、栽培・収穫・取引されたカカオが、サステナブルカカオです。

そもそもサステナブルとは何か、というと、国連が掲げるSDGs(エスディージーズ) のSがサステナブルのこと。持続可能な、と訳されます。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略です。

 

サステナブルチョコレートとは?

 

サステナブルチョコレートとは、サステナブルカカオから作られたチョコレートです。基本的なことですが、チョコレートの原材料はカカオ豆です。カカオ産地に問題が起き、栽培の継続ができなくなれば、カカオが世界からなくなり、同時にチョコレートは世界に存在しなくなります。

 

世界の製菓用チョコレートブランドの「サステナブルチョコレート」への取り組み

グローバルに展開する、チョコレート関連企業なら、ほぼすべてといっていいほど「サステナブルカカオ」への取り組みを行っています。

海外の主要製菓用チョコレートメーカーの例をあげると

バリーカレボー社(スイス)
「フォーエバーチョコレート」というプランを掲げ、2025年までに、自社が扱うチョコレートを100%サステナブルにし、児童労働をなくす目標をたてています。「ココアホライズンプログラム」では小規模生産者を視点しています。

ヴァローナ社(フランス)
「カカオフォレスト」を立ち上げ、企業、研究者、NGOと積極的に協力しあい、カカオ生産者の生活工場のために、生産性がよく、地球環境にもよい(森林破壊や化学肥料や農薬の使用しない)栽培方法を開発し、生産者に伝えています。

ピュラトス社(ベルギー)
「カカオトレース」というプログラムを作り、世界各地の生産者の収入を増やすための支援をしています。ユニークなプログラムは各国に広がり、サステブルカカオを使ったチョコレートに「カカオトレース認証」マークをつけています。

などです。

製菓用チョコレートブランドが、支援活動を行ったうえで収穫・取引されたカカオを使って製菓用チョコレートを作り、それをショコラティエやパティシエ、メーカーが使ってチョコレート商品を作れば、それはサステナブルチョコレートといえることになります。

 

どのチョコレートがサステナブルなのかはすぐにわからない

 

それでは、どの商品(チョコ)がサステナブルなのか。

結論からいうと、この質問には簡単に答えられません。「どのチョコが本命チョコにおすすめか」「どれが今年ニューオープンの店のおしゃれな新作か」などのテーマとは、根本的に異なるからです。

具体的には、商品パッケージを見ただけでは区別がつかないことが多いです。いくらカカオ産地の支援活動をしている会社でも、イメージやシーンの演出を重視するブランドは、個々のパッケージに、いちいち「このチョコレートはカカオ産地の児童労働の上で成り立ったカカオを使っていません」とか「私たちのブランドは、カカオ生産者の生活向上を目指す活動に取り組んでいます」などと、あえて書かないからです。

一方で、わかりやすいものもあります。

パッケージに、しっかり活動内容が大きく書かれている商品です。カカオ産地支援活動やフェアトレードを主なメッセージとしてうたうブランドもありますし、例えば国際フェアトレード認証マークがついたチョコレートなら、認証を得るための基準がクリアされていることになります。

また、ビーントゥバーチョコレートメーカー、小規模なクラフトチョコレートメーカーは、カカオ豆からチョコレートを一貫製造するため、カカオ産地や生産者のストーリーや、説明がふつうのチョコレートよりも多くなります。取り組みや活動やストーリーが、他ブランドとの差別化になり、注目されるムーブメントなので、生産者やそのエピソードまでを、細かく伝える傾向があるのです。ときには、パッケージの裏が文字でぎっしりだったりもします。

カカオ産地支援をしていても、表立って示さないブランドあり。大きくうたうブランドあり。打ち出し方や、ヴィジュアルイメージ、PRが目立つから、必ずしも、そればかりがいいとはいえない、難しさがあります。

現に、私がプレスリリースやPR文を、読んで頭がハテナだらけになるケースが、残念ですが何度かありました。PRを担当している方も、きっと詳しいことは知らないのです。

まずは、みなさんが知っている世界的なチョコレートメーカーならほとんどが、カカオ産地への何らかの支援活動をしていると思ってください。

ゴディバも、リンツも、ネスレも、明治も、森永も……SDGsに関わる、カカオ産地支援を行なっています。大きな企業ほど社会への影響力があり、規模の大きい支援ができます。

 

SDGsは、イメージだけはない

 

私はそれにしても「サステナブルな活動と、マーケティングやPRを分けて考える」という意識を、あらゆるポジションの方が持つことが、重要だと考えています。

消費者も「なんかすごーい、いいことしてるみたいだね」「わあ、きれい、しかも環境にいいんだって?」と感覚に訴えかけられ、単にそれに反応しているだけでは、いつまでたっても、根本的なことへ、ゆきつきません。

おしゃれなライフスタイルを重視するメディアは、今年オープンの新店舗、新しい商品、誌面映え、できればきれいなヴィジュアルを求めます。

私も美しいもの、スタイルのあるおしゃれが好きな人間ですから、それを重々わかったうえで書くのですが、サステナブルは新しいことよりむしろ、長く活動を続けてリアルな成果を出していることが価値だと思います。サステナブル=持続可能、長く活動し続け、検証を重ね、成果を出している活動を、リスペクトすべきではないでしょうか。

アピールしていなくても、地道にカカオ生産地とかかわり、大規模な活動を続けているブランドや人の存在があること。それから、とてつもなく難しい問題なので、そう短期間にそう簡単に解決する問題ではないことも、気にとめておいてください。

カカオ産地の問題は複雑です。すぐに結果が出ないからこそ、多くの企業、チョコレートブランド、個人、NGOが長い年月をかけて産地と関係を作り、計画をたて、試行錯誤しながら活動を続けています

サステナブルカカオ、サステナブルチョコレートへの関心は高まっています。私もメディアを通して、引き続き情報を伝えていきたいです。

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チョコレートジャーナリスト  市川歩美

サステナブルチョコレートを考えるうえでの参考記事

 

私が媒体でセレクトしたチョコレートや、執筆した記事などです。お時間あるときにどうぞ。

<明治のガーナでの支援活動>

カカオ産地支援「ガーナで名誉酋長になった日本人」(東洋経済オンライン) 地道に長年続ける価値

<たびたび問題となるSDGsウォッシュについて>

SDGsウォッシュとチョコレートについて

 

<カカオ問題についてまとめ、注目されている記事>

https://toyokeizai.net/articles/-/207695
東洋経済オンライン(執筆者 市川歩美)未読の方は、ぜひご一読ください。

<参考動画 チョコレートプラネットの長田さんとともに「チョコレートとSDGs」>

<Withで読者にあわせ、かわいく、楽しく、おすすめサステナブルチョコをセレクトしました>

サステナブルチョコをご紹介 With3月号で「シェアハピなバレンタイン」

<ananでサステナブルなチョコレートをセレクト>

サステナブルなチョコレートについて (ananチョコレート特集でコメント)

<婦人画報で日本のチョコレートの歴史とチョコレート業界のサステナブルな活動を執筆>

日本のチョコレートの歴史と変遷「婦人画報」2月号で書きました

<25ansで、今年おすすめのチョコレートとサステナブルを考えるうえでの知識を執筆>

ヴァンサンカン2月号 チョコレート特集「幸せのショコラ名鑑」が大充実 (市川歩美監修)

おまけ!メキシコ(有名なカカオ産地ソコヌスコ地方 )取材にて。すくすく育つサステナブルカカオの苗に囲まれてよろこぶ私

 

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