こんにちは。チョコレートを主なテーマに掲げるジャーナリスト、市川歩美です。暑い日が続きますね。チョコレートが溶けそう、いや、溶けちゃう……そんな季節ですが、みなさんお元気ですか?
今日は「チョコレートは冷凍してもいいの?」という、夏によくいただく質問についてお話しします。
チョコレートは冷凍しても大丈夫?
結論からいうと、チョコレートは冷凍しても大丈夫。ただし、注意点もあります。
チョコレートの種類にもよりますが、冷凍保存することで賞味期限を伸ばすことができますし、夏場の保存に安心だったり、カリッと冷たいまま食べるのも新鮮な楽しみ方です。
しかし、冷凍することでチョコレートの味わいや風味が変わってしまうことはあります。保存するときに注意しないと、カカオバターの結晶構造が変わって、ブルーミング、つまり表面が白くなって食感がよくなくなることもあります。
冷凍保存のメリットと注意点
チョコレートの冷凍保存のメリットと注意点をまとめておきます。
【メリット】
・賞味期限が通常より長くなる
・夏場の保存に安心
・冷たくカリッとした食感になるのでそれが好きな人はうれしい
【注意点】
・水分やほかの食品のにおいが移らないよう、しっかり密閉する
・真夏の常温でとけかかったような状態からいきなり冷凍庫に入れるとブルーミングするのでおすすめしない
・保存した日付をメモしておくと便利
特にチョコレートは水分が苦手です。冷凍庫の開け閉めで霜がついたりしないよう、できればジップロックや密閉容器に入れて保存しましょう。
正しい解凍方法でおいしく
では、食べる時は?
ということですが、冷凍したチョコレートを食べるときのポイントは、特に真夏はですが、いきなり常温に戻さないこと。急激な温度変化で表面に結露しやすくなります。気温がかなり高い真夏なら冷蔵庫でゆっくり解凍し、室温に少し置いてから食べるとよいかもしれません。
ただし、先ほども触れましたが、冷たくカリッとした食感が好きな人もいます。そういう方は、あまり難しく考えずに気軽に楽しんでくださいね。冷凍庫から出したてを冷たく、味わってください。
ボンボンショコラの冷凍はおすすめしない
チョコレート、と一言でいってもいろいろなタイプがありますが、チョコレート職人が作った手作りの高級ボンボンショコラの冷凍保存はおすすめしません。冷蔵庫で保存するか、早く味わいましょう。
繊細な手作りのチョコレートは18℃前後での味わいを考えて作られています。また生クリームなどのフレッシュな素材を使っていますので、繊細です。
もちろん、あまり深く考えないで楽しく食べたい、という方は良いと思いますが、最高の状態で味わおうとしたら、早めにいただくのがいちばん。家庭用の冷凍庫で冷凍すると、上手にベストな温度に戻すのが難しいです。
私のおすすめは「なるべく早く食べる」
ということで、チョコといってもタイプがいろいろ。スーパーやコンビニで売っているチョコレートなら、保存のためでなく、新しい食感のために凍らせてみるのも面白いと思います。
ただし、私はやっぱりチョコレートは早く食べる方が良いと思っています。これは私の著書「味わい深くてためになる 教養としてのチョコレート」(三笠書房)にも書きましたので、読んでくださった方も多いかもしれませんね。
これも本に書きましたが、冷凍庫などに保存すると油断してしまうんです。いつでも食べられるから、みたいな、ですね。いつか読もうと思って本棚に入れて安心してしまっている読まない本みたいです。本ならまだしも、チョコレートは食べ物。食べるのを忘れてしまったら、せっかくのチョコレートが無駄になってしまいます。
冷凍庫に入れて忘れてしまわないで、チョコレートをちゃんと食べ切ってあげてくださいね。冷凍庫の奥に押し込んだままにならないように、気をつけてください。できるだけ冷凍庫の奥の方へ、押し込んだりしないように。
ざっくりではありますが、冷凍について書いてみました。暑い季節もチョコレートを楽しみましょう!
text チョコレートジャーナリスト 市川歩美