こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
この記事では、夏にチョコが白くなってしまう「ブルーミング」とは何か、そして、ブルーミングしてしまったらどうしたらよいかを、やさしく解説します。
チョコレートのファットブルームとは?
誰もが経験があるのではないでしょうか。チョコレートの袋を開けたら、あら、板チョコレートの表面が白くなっちゃっていた。ショックー。
「これ、大丈夫かな」
なんて考えつつ、おそるおそるかじると味と口溶けがいまいち。ぼそぼそしていて、おいしくないかも…(トーンダウン)。
チョコ好きなみなさんなら一度は経験がありますよね。
暑い日にチョコレートを常温に出しっぱなしにしておいたあと、ちょっと溶けたチョコレートを、そのまま冷蔵庫にしまったりすると、表面が白くなってしまう。
この白くなってしまった状態を「ブルーミングがおきてしまった」「ファットブルームがおきてしまった」といいます。
チョコレートのブルーム現象
「ファットブルーム」「ブルーミング」について、温度の話とともに、説明します。
チョコレートは「チョコレートの保存法」で書いたように、温度の変化をきらいます。
ファットブルームとはこんなイメージの現象。
暑さでチョコが溶けてしまったために、もともとチョコの中に、きれいに溶けこんでいた油脂(ココアバター)の並びがバラバラになってしまう。そのバラバラになってしまったものを、もう一度冷やして固めても、同じ並びにはなりません。バラバラのまま、固まってしまうんです。
そのバラバラになってしまった油脂が、表面に浮き上がって白くなっているのが「ファットブルーム」。
白く、チョコの表面に浮き上がっているのは、バラバラの不安定な結晶になった油脂です。
こうなってしまうと、チョコの食感なんだか硬くて、ボソボソ食感。なめらかさがなくなって、見た目もダウン。うーむ、どうしたものか、、と複雑な心境になります。
ブルームがおきたチョコはどうしたらいい?
チョコレートジャーナルは、チョコレート好きな方が読んでいるサイトですから、 ブルーミングがどういうものなのか、という解説だけにはとどまりません。
ここから先は、前向きに「ブルーミングチョコレスキュー方法」をご紹介することにします。
ブルーミングした板チョコは、ひと工夫すればおいしく楽しめるので、安心してください。しかもとてもカンタン。私もたびたびも試していますので、みなさんもやってみてください。
ブルーミングレスキュー1 ホットチョコレートにする
まずは、ひとつめのレスキュー方法です。
ブルーミングしたチョコは、ホットチョコレートにしましょう。
ホットチョコレートは、私の毎日欠かすことのできない定番ドリンク。夏は氷に注げば、アイスチョコレートドリンクです。
チョコレートドリンクの作り方
1 200CCほどのミルク、ブルーミングした板チョコ(30gくらい)を用意
2 まな板の上で、チョコをナイフでザクザクと削む
3 お鍋でミルクをあたためて、その中にチョコをいれる
4 あたためながらくるくるまぜてチョコを溶かし、溶けきったらできあがり
刻まなくても、細かく割れば、わりと簡単に溶けるチョコもあります。ポイントは、沸騰させないようにまぜること。ちょっとくらいダマになっても、自宅で味わうならOK、チョコ感がおいしいです。
チョコレートドリンクマシーンでドリンクに!
超・簡単な方法もあります!
私が毎日2回、欠かさず使っているのが、下の記事で紹介している、チョコレートドリンクメーカーです。
このマシーンさえあれば「ブルーミングしたチョコ、回収します」「ブルームOK」とかいいたくなるくらい、力強い存在なのですよ。ナイフもお鍋も不要、かんたんすぎて存在に感動、多くのチョコレートファンを幸せにしているこのマシーン。詳細は以下をぜひ読んでください。
ブルーミングレスキュー2 チョコレートトーストにする
これは、私の朝食のバリエーションのひとつなんですが、かなりおいしいですよ。
チョコレートトーストにしちゃいましょう。
チョコレートトーストの作り方
1 ブルーミングした板チョコをナイフでザクザク
2 オーブントースターで焼いたトーストにチョコを広げ、余熱で溶かす
3 余裕があれば、イチゴやバナナをスライスしてトッピングしてもおいしい!
余熱で、いい感じにチョコがとろりととけて、チョコだけで十分おいしいです。フルーツがあれば贅沢な朝に。
ブルーム対策3 チョコスプレッドにする
時間がないときは、これもいいです。
チョコスプレッドの作り方
1 ブルーミングしたチョコを適当に手で割る
2 耐熱ガラスの器などに入れ、レンジでチン(量にもよりますが様子をみて1分くらい?)
3 やわらかくなったチョコをスプーンで混ぜ、ペースト状に
4 パンなどにのせて、ぱくっ
カンタンすぎですよね。しかも間違いないおいしさです。
べつにパンにのせなくても、直接スプーンで味わってもよいし、あたたかいうちだとより風味がわかって、チョコレートの味の傾向などもしっかりと感じられます。
これらは、別にブルーミングしたチョコでなくてもおいしいので、ぜひどうぞ。
ブルーム対策4 チョコのお菓子作りに使う
お菓子作りをする方は、ブルーミングしたチョコを、お菓子にするのもよいです。
今は、ネット上で手軽なレシピが見つかりますね。チョコを使ったお料理レシピもあるので、もちろんお料理にも。お菓子なら、ガトーショコラや、チョコプリンなどが、簡単です。
考えようによっては、ブルーミングさせたからこそ、チョコをお菓子にすることができるのです。
うっかり、高価な板チョコをブルーミングさせてしまったら、まずは反省、すぐ頭を切り替える。そしてここぞとばかりに、ワンランク上の素材(チョコ)でホットチョコレートや、ガトーショコラにしちゃう。
ブルーミングさせなければ、トライできなかった味に出会えるかもしれません。
ファットブルームに注意。でも万が一のことがあっても、楽しくレスキュー。チョコを一層美味しく食べきってくださいね。
text & photo
チョコレートジャーナリスト 市川歩美
*くつろぎ屋さんで市川歩美が書いているチョコのコラムは、以下から読めます。
コラムでは、チョコの素朴なギモンや知りたかったことの答えなどを、やさしくまとめています。