こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
食べログマガジンで私が執筆した、豊橋の洋菓子店「マッターホーン」の記事が、公開直後から、食べログマガジンのアクセスランキング1位が続くなど、想像をはるかに超える人気です。(うれしいです!)この記事では、さらに写真を加え、お店の様子や、マッターホーンの歴史について、書きます。
豊橋のマッターホーンとは?
マッターホーン、と聞くと、東京近郊の方は「あの学芸大の?」とイメージするかもしれませんが、愛知県近郊の方なら「あの豊橋駅前の」、となります。
ここでご紹介するのは、愛知県豊橋市内にある「マッターホーン」。1974年から続く人気洋菓子店です。
お店の場所は、JR豊橋駅東口からアーケードを抜けて数分。私は新卒で、名古屋の放送局に入社して、3年間豊橋支社に勤務していたので、実は、このアーケードも、この通りも、おなじみの場所。豊橋の方なら、すぐにわかりますよね。
今も昔も変わらず、地元の人々に愛され続けるケーキの名店。大きなガラス窓、ラウンド型のエントランスは、社長であり、オーナーシェフの河合秀矩さんのこだわりです。
学芸大のマッターホーンと豊橋のマッターホーンの関係
豊橋の「マッターホーン」のオーナーシェフ、河合秀矩さんは、もともと、東京・学芸大学の人気の洋菓子店「マッターホーン」で、お菓子を作っていた方です。
22才でスイスへ渡り、バーゼルの製菓学校をはじめスイス各地の菓子店で、洋菓子やチョコレート作りを学び、帰国。スイスで学んだことを生かし、マッターホーンの商品にいかしました。
店が同じ名前なのは、河合さんが独立して、豊橋の店をオープンするとき、多くを学び思いの詰まった店の名「マッターホーン」と名付けたい、と考えたからです。
学芸大学のマッターホーンの社長に願い出ると快諾してくださったそうです。「東京と豊橋なら箱根を越えるし、お互い繁盛しても大丈夫だね」。
1974年に同名のお店がオープン。今も、学芸大学のマッターホーンさんとは、揺るぎない信頼関係で結ばれています。
マッターホーンの人気菓子「ダミエ」
代表的なケーキで、個人的にも思い入れがあるチョコレートケーキ「ダミエ」をぜひご紹介したいです。
バタークリームとチョコレートを使ったクラシカルなケーキ。味も形も、昔から変わっていません。
ココアとプレーンの生地を市松模様に組み立てています。そしてバタークリームを塗ってチョコレートコーティング。
無塩バターと有塩バターを調合して作る、少し塩気があるバタークリームがアクセントです。昔から食べているものって、無敵ですよね、個人的なことではあるんですが、やっぱり、心と体にしっくりきます。
1カットだけでなく、大きめサイズのダミエもあり、手土産に人気です。
食べログの記事にも書きましたが、毎年、12月31日には毎年100本くらい大きいサイズのダミエが売れるそうです。豊橋のマッターホーンファンのみなさんは、お正月はこれがなくては、という方が多いのでしょう。(なんかわかる気がする……)
学芸大学のお店にも同じ名のケーキ「ダミエ」があり、10年以上前に、その違いを検証したことがある私なのですが、形は似ていますが、作りが違います。
豊橋のマッターホーンの社長、河合さんによると、学芸大に勤めていらした時に作っていたダミエを、オープン当時に少しアレンジしたそう。
「豊橋のダミエは学芸大のお店のダミエより『生地感』を減らし、もう少しクリームとチョコでしっとりさせた感じ」に変えたそうです。
マッターホーンの人気菓子「マッターホーン」
ふわふわです。これも本当に好きでした。先日もたべて、おいしいな〜と思った、人気の定番商品。
2代目で専務の河合矩紹さんによると「オープン時に、一年中変わらない味を提供できる定番をと考え、生まれたのがこのケーキ」。
確かに、フルーツだと季節によって手に入らないものが出てきたり、旬の美味しいものを調達できないかもしれません。それで、いつでも作れて安心な、栗の甘露煮を使ったそうです。
ふわふわな生地にふわふわのクリーム。とにかく、ふわっふわ。
ランチのあとに立ち寄って、あーもう食べられないかもーなんておもっても、あれ?すいすい、そしてぺろり、といってしまえるこちら。
トップに飾られたそぼろ状のスポンジ、生クリームの中の、刻んだ栗の甘露煮のサイズもポイントです。甘さおさえめなのも個人的に、うれしいです。
バタークリームケーキが根強い人気
マッターホーンには、バタークリームを使ったクラシカルなケーキがあります。なんだかしみじみ、うれしく見つめてしまうのは、生クリームのケーキが主流になったからですね。バターケーキを、今は逆に見つけるのがむずかしいです。
地元では「昔からこれ」という方が多いそうです。もちろん遠方から買いに来る方も多いそう。
バターケーキシリーズを並べた上の写真、「ロール」「ダミエ」「モカ」「ショコラ」。いずれもマッターホーンを代表する、創業時から変わらないケーキたちです。
いくら時代が変わり、フランス風のきれいなお菓子が流行り、最新のマリアージュが楽しめたり、海外発の話題の……などがじゃんじゃん情報発信され、ショーケースを賑わしても。やっぱり私たちは人間ですから、昔から馴染んでいる味が、心を癒す。これは変えがたいものなのでしょう。
マッターホーンのトリュフ
かつての豊橋時代。仕事帰りによく買いました。このトリュフ。
私は、チョコ好き、というのは、基本みんなトリュフ好きではないかと思うんですがどうでしょうか。チョコそのものを、やわらかに、とろけるようにおいしく、にっこりと、ほおばりたくてしょうがないのです。
リーズナブルなプライス、お味、両方ほっとします。河合さんが丁寧に作っているトリュフです。量産できず、夏場は販売がないこともありますが、見つけたらどうぞ。おすすめです。
この味を守る
私は、東京在住なので、滅多に豊橋にいけませんが、仕事で用事があれば、かならず立ち寄る「マッターホーン」。
なんというのでしょう。変わらぬティールームで、変わらぬケーキを味わうひとときは、自分をみつめなおす、幸せで静かな時間になるのです。
2代目であり専務の河合矩紹さんによると、「オープン当時と変わらず、機械化もほとんどしていない手作りです。朝早くから従業員さんに出てもらって、その日に作ったものをその日に売るのが基本。ほとんど冷凍もしません」とのこと。
私がうれしかったのは、「パッケージやデザインは少し変えても、お菓子の中身は変えずに、この味を守ろうと考えています」とおっしゃったことです。
食べログマガジン、市川歩美によるマッターホーン関連記事
そんな思い出とともに、私が豊橋のマッターホーンについて書いた記事はこちらです。ぜひ読んでくださいね。
食べログマガジンで書いた記事はこちら
なんと、食べログ人気記事ランキングでしばらく1位を独走するほどのアクセス。とても嬉しく思っています!
text&photo
チョコレートジャーナリスト 市川歩美
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*ブラックサンダーカップアイスが売られている、直営店以外唯一のお店が豊橋のマッターホーン本店です。
追加記事
学芸大学のマッターホーン記事(食べログマガジン)
マッターホーンの朝食についての記事はこちら
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