BY AYUMI ICHIKAWA

サロン・デュ・ショコラ パリの表彰・アワード、C.C.Cとは?日本人として知っておきたい基礎知識

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ショコラコーディネーター®/チョコレートジャーナリスト®
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チョコレートのシーズンになると、「世界的なチョコレートの品評会で最高位」「C.C.Cでアワードを受賞」「金賞を受賞」など、メディアであらゆる「ぼんやりとした」表記が踊ります。

日本人であるが故にあやふやになる、フランスの現状・情報を知ることは、日本人の「知性」、日本の消費者・愛好家の誇りに繋がると私は感じます。

私が出演した「クローズアップ現代」で、キーワードにもなった「サロン・デュ・ショコラパリ」や表彰について、私の立場から、整理、補足します。

 

サロン・デュ・ショコラパリで何が表彰されるのか

 

サロン・デュ・ショコラで表彰された、というような言葉とともに、「CCCで金賞だった」「CCCでアワードをとった」という書き方が、よく読むとされていると思います。

サロン・デュ・ショコラパリの表彰式で、賞状などを渡されているのは、CCCという、パリのチョコレート愛好家団体から評価されたショコラティエや、ブランドです。金、アワードなどは、この愛好家団体が独自で作っているものです。

サロン・デュ・ショコラパリの会場を使って、パリのチョコレート愛好家団体が、ショコラティエに賞状を渡している、わけです。

 

CCCはどんな評価をするか

 

CCCは、世界の全チョコレートブランド、というわけでなく、評価してほしいと願いでたチョコレートブランドを評価します。

その結果を、第一に小さな冊子に掲載し、「サロン・デュ・ショコラパリ」の会場で販売し、さらに数年前からは、サロン・デュ・ショコラパリの会場で、表彰をするようになりました。

CCCは

1 毎年ガイドブックを発行し、チョコレートブランドの評価をのせる
2 アワードと呼ばれる独自の賞を毎年数ブランドに与える

という活動をします。

審査は、愛好家団体独自のもので、オリンピックやミシュラン、世界的な大会やコンクールとは異なります。

たとえばチョコやお菓子の世界なら、国内予選の優勝者だけが世界大会に出場でき、最後に世界一が決まる「ワールドチョコレートマスターズ」や「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」があります。

こういうものとは全く違い、厳しい審査が審査員によってリアルタイムで行われ、ナンバーワンは1人最終的に選ばれる、または1カ国が勝ち残る……ことはありません。

CCCは、毎年、数十もの「金」(最高位)と、独自に作った「アワード(ナントカ賞)」をチョコレート職人やブランドに与えます。

検証すると、チョコの世界でよく知られていますが、CCCの活動を時々目にしますが、世界的なコンクールで一位、みたいな言い方はやはり?かと思います。

追記:
ところで、CCCは、「クラブ ド クロクール ドゥ ショコラ」の略です。チョコレートをかじる人たち、というような日本語訳。「.」がよくCの間にあるのを見かけると思いますが、「クラブドゥ.クロクールドゥ.ショコラ」と日本語で書くとわかるように、「.」に違和感があります。実際、フランス語が堪能な方が数人、おかしいですね、と話してくれました。私は、媒体基準があるとき以外はCCCとします。

 

サロン・デュ・ショコラ パリの表彰とは何か

 

では、「サロン・デュ・ショコラ」で表彰される、CCCの賞、評価はどういうものか。誰を、どういう基準で表彰するのか。

明確に答えられる人は、かなりレアです。私も関わるまで、ぼんやり「すごいかも」なイメージしかなかったので、一般の方なら当然です。

実際のところCCCは、

1 毎年ガイドブックを発行し、その評価をのせる
2 アワードと呼ばれる独自の賞を毎年数ブランドに与える

という活動をします。サロン・デュ・ショコラパリで表彰されている写真が、よくありますが、あの表彰台の写真は、2、です。

 

アワードは特別賞のこと

 

2に書いた、アワードについて解説します。「サロン・デュ・ショコラパリでアワードを獲得」と読んだことがあるかもしれませんね。

アワードは、CCCが毎年つくる「いろいろな賞」「なんとか賞」、つまり特別賞のような意味合いです。厳格な分析結果でなく「いいチョコレートを作っていますね」「応援します」「みとめています」「友愛」などの、感覚ベースの、楽しい授与なイメージ。

出品し始めた新しい日本ブランドに「とてもよいショコラを作っていますね、CCCはあなたたちを歓迎しています、これからも期待しています」みたいな気持ちと応援がこもっているのを感じる賞もあります。レベルが全ブランドの中で最も高いから、アワード、ではなく、感覚的にとてもいいね、というか、応援・ウェルカム賞、みたいなあたたかなものが流れている気も。

私は、長年この賞をみてきているのと、「クリオロ」のアントワーヌ・サントスシェフの代理で、パリで表彰台にのぼり、壇上でアワードを受け取るというかなりレアな体験をしています。その体験とそれによるやりとりから、感覚としてわかることが、あります。

 

サロン・デュ・ショコラで世界一になった、はない

 

さすが今はもう、「パリのサロン・デュ・ショコラで金賞をとって世界一になった」というような内容を、メディアでは見なくなりました。海外からの情報も早く、事実は検証すればすぐわかる時代になったからでしょう。

実際に、CCCは、世界一を決めません。1位や2位を決める活動もしていません。オリンピックのような、統一された厳格な選考基準や客観的な採点法がなく、愛好家の感覚がベースとなっていて、あるレベル以上ならば、そう数にこだわらず金評価をしています。

それはいいこと、とも私は思えていて、やさしさや人間味を感じます。「分析的」というより「感覚的」なことが垣間見える。私にいわせれば、それが愛好家団体が独自でやっている、自由さ、おもしろさです。

 

ミシュランともワールドカップとも違う

 

CCCの評価が、チョコレートのミシュラン、などと例えられることがありますが、これは間違い。チョコレート関係者の間では、よく話題となることです。

理由は

・ミシュランは、出品希望のあるなしにかかわらず、厳格なシークレット調査する。がCCCは(特に海外ブランドは)出品を希望したブランドのみを、審査して掲載する。

からです。さらには、ミシュランのような厳しいジャッジとは違う印象で、もう少し感覚的、あるいはおつきあいの度合いや、人間味がわりとわかりやすく垣間見えます。

クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーやワールドチョコレートマスターズのように厳しい実技、審査を受けて勝ち残り、順位が決まるものではない。

むしろ人間味のようなものを感じるのがCCCの活動。

この基本的な感覚をわかっていれば、間違いは起きにくいのです。

 

基本はこういうこと


メディアの方や、関係者の方のために、ここでまとめます。

まず、CCCとは、パリで1981年に誕生した、チョコレート愛好家団体です。チョコレートの評価は、CCCの会員の一部のフランス在住の方が行います。すべてのブランドに「金・銀・銅」の三段階評価をつける。対象は、ほとんどフランスのブランドですが、次に多いのが、出品希望が多い日本。

評価枠は、フランス本国枠と、外国人枠「外国部門」がきっちり分かれています。海外からエントリーがあると「外国部門」としてフランスとわけたステージで、評価されます。

評価結果は、独自出版の縦長の小さなガイドブックにまとめられます。一般書店には並びません。購入できるのは、サロン・デュ・ショコラ パリの会場かオンラインです。

メディアのみなさん、チョコ界のオリンピックでもワールドカップでも、ミシュランでもありません。ミシュランとの違いは、上で書いたとおりです。

 

コロコロかわる&2019年はCCCは審査・評価をしていない

 

ひとまず、私がこう書くと、日本人の私たちは「そうか、そういうものか」と、これをぶれないルールや知識として、頭を整理しようとしますよね。しかし、感覚がちがいます。コロコロかわるのです笑

愛好家団体なので、団体の裁量で自由になんでも変えられるのは当然ですが、今年の変わりっぷりは凄まじく、なんと!審査自体がありませんでした。活動のベースでもある評価をしない、とはさすがにびっくり。

国の組織でも、オリンピックでもなく、愛好家団体の行う活動なので、厳格な規約もなくて自由でよいとは思いますが、驚きました。

関係者の方々からは「いろいろ事情があった」と色々聞こえいますが、活動の軸だった「評価」する機能が動かなかったという、2019年でした。

じゃあ、ガイドブックに何を書くの?と思っていたら、独自に「100人のショコラティエ」を選んで、掲載していました!そうきましたか、という感じでした。

 

CCCに関わらないチョコブランドの方が多い

 

「100人のショコラティエ」について、これも、メディアが混乱しそうなワードなので解説しておきますね。

これは決して「世界のベストショコラティエ100人」ではありません。

素晴らしいショコラティエが集まっているのは間違いないですが、CCCと友好的に関わり、評価をうけたブランドだけが掲載されています。世界中のほとんどのショコラティエは、CCCと関わっていないことを忘れてはいけません。

ページをめくった私は、CCCでお馴染みの面々が100人、CCCファミリー、というような気もして、和やかな感じがしました。

なんとなく和やかで好きです。お知り合いのショコラティエさんが多く、掲載された方はうれしいだろうと私もにっこりしました。

しかし。報道関係のみなさんは、注意しなくてはなりません。

世界中には、星の数ほどチョコレートブランドがあり、素晴らしいショコラティエがいますが、CCCの審査に興味を持たず、関わらないチョコレートブランド、ショコラティエがいくらでもいます。ちょっと考えればわかりそうですが、その方が圧倒的に多いです。認知のトリックです。少し考えればわかることですね。

パリで取材していると「サロン・デュ・ショコラパリやCCCには、出品・出店しない方針だ」と名言するブランドも多いです。

さらに、この「ショコラティエ100人」に、日本人ショコラティエが多い理由は、日本が世界一、パリのCCCの審査に積極的に、友好的にエントリーし、サロン・デュ・ショコラパリに出店する国だからです。

 

サロン・デュ・ショコラパリ 日本からの出店数は世界2位

 

サロン・デュ・ショコラパリの出店数が、フランスに次いで2番目に多い日本。CCCに審査を申し込むのが多い国が日本。圧倒的に多いです。

ここからわかるのは、日本が「パリ」に夢や魅力を感じる国だからというのと、日本のチョコレートブランドは、サロン・デュ・ショコラパリに出て、評価を得ることに、世界一熱心な国だということが挙げられると思います。

パリに出店したという事実と、CCCから評価を受けるのが、ビジネス上のメリットになる。(NHKの番組でも言及されていましたが)イメージやマーケティング的に、大きな効果が見込める国なのです。

もちろん、サロン・デュ・ショコラパリに出店すること、チャレンジすることは、素晴らしいことで、私も応援しています。「それが夢だった」なんてブランドの方もいます。

小さなブランドもパリで世界のチョコ関係者とつながれる、ブランドの知名度を上げられるチャンス。高額な出店料を支払っても、大きなメリットがあると思います。

 

サロン・デュ・ショコラパリで「金賞」?

 

もう少しお話ししておきます。「金賞」について。

CCCの評価に「金賞」はありません。そもそも賞がありません。

日本では「金賞」という言葉の通りがよいせいか、たびたびそう訳されますが、正確には、三段階評価(金、銀、銅)の、金という評価をもらいました、という意味です。通知表の3、2、1、の3だった、というイメージです。

ガイドブックをひらけば一目瞭然で、金評価のブランドがずらり。CCCの金を世界一、とすると、世界一が大勢いますよ(インターナショナルチョコレートアワードも同じくです)。

 

最高位とはなんのことか

 

「最高位」というワードにも注意が必要です。

金=最高位だと、最高位がたくさんいることになります。「アワード」=特別賞的な独自の賞なので、最高位とはいえません。

ひとついえるのは「欠かすことのできないショコラティエ」というカテゴリーを、CCCが、これも突然、数年前に作りました。10数人が選ばれています。殿堂入りしたショコラティエ、みたいなもので、もしかしたらいちばん「最高位」に近いイメージかもしれません。ちなみに、日本人で選ばれているのは、青木定治さんのみ、です。(青木さんは、パリが拠点の「フランス枠」の方で、外国人枠としてとらえられていません)

ちなみに、表彰式では、この「欠かすことのできないショコラティエ」たちが表彰されます。みんなステージ上では常連さん。表彰台で、毎年おしゃべりして、楽しげ。

 

人間味があっておもしろい

 

そろそろ雰囲気がわかってきたでしょうか。そうです。そうです。私などは、人間味があって、フランスらしく、日本との違いも愉快だな、と思うことがあるくらいです。

上述したアワードは、CCCから応援されている証なので、よかったですね、と思う感じです。

ただ「アワード受賞=世界一」とか、あらゆる勘違いしている日本人がいて、それをまたSNSなどで鵜呑みにして拡散する人までいるのが、残念です。

「あやふやな報道でもまるっと鵜呑みにする日本人。勘違いしているのは日本人だけ」

海外で関係者の方に、私はこう言われたことが実際にあるのです。私は日本人ですからやはりくやしかったですし、ショックでした。私もチョコレート愛好家として、勘違いしつづけてきた一人です。だからこそ、チョコレートの長い愛好家として、ジャーナリストとして、シェアしておきたいです。

私が番組でもお話したように、多くの日本のショコラティエがサロン・デュ・ショコラパリに出店、CCCに出品、チャレンジしているのは、もちろん素晴らしいことです。

ただ、上記のような基本を理解しておくことが、日本人、消費者としての知性ではないでしょうか。

私は、根本的には、チョコレート愛好家で消費者です。どんなチョコレートも応援したい気持ちがベースにありますが、自分がよければいい、消費者はすぐ情報を鵜呑みにするからこういっておけばいい、メディアは機嫌よくさせれば検証しないしまあちょっとしたことならごまかせるだろう、という消費者や愛好家にリスペクトのない姿勢を感じることが、最もがっかりすることです。

サロン・デュ・ショコラパリでの評価に触れたときは、もう少し、なごやかに楽しく、ほのぼのとチョコレートを味わってみてはいかがでしょう。

「サロン・デュ・ショコラパリ」自体については、先日、CEOのジェラルド・パラシオさんとその役割や意義について、直接いろいろなお話をしました。興味深い内容なので、いつかぜひまたどこかで書きたいと思っています。

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チョコレートジャーナリスト  市川歩美

NHK総合「クローズアップ現代+」市川歩美出演&サロン・デュ・ショコラパリ 、CCCについて

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