by Ayumi(市川歩美)

サロン・デュ・ショコラ パリの表彰・アワード(C.C.C)を正しく知ろう

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ショコラコーディネーター®/チョコレートジャーナリスト®
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チョコレートのシーズンになると、「C.C.Cでアワードを受賞」「金賞を受賞」など、メディアであらゆる「ぼんやりとした」表記が踊ります。

日本人である故にあやふやになりがちな、フランスの現状・情報を知っておくことは、日本人の「知性」であり、誇りに繋がります。

私が出演した「クローズアップ現代」で、キーワードにもなっていた「サロン・デュ・ショコラパリ」や表彰について、私の立場から、整理、補足します。

 

サロン・デュ・ショコラ パリでされる表彰とは何か

 

「サロン・デュ・ショコラパリ」では誰が、誰を、どういう基準で表彰しているのか。

明確に言える人は、レアです。私も関わるまでは、ぼんやりと「すごい」イメージしかありませんでしたので、一般の方なら当然でしょう。

実際は
1981年に作られたCCCというパリのチョコレート愛好会が集まる団体」が、出品のあったチョコレートブランドだけを対象に行った評価が、サロン・デュ・ショコラパリの会場

1 毎年ガイドブックを発行し、評価をのせる
2 アワードと呼ばれる賞を与えるので、与えられた人が表彰台で表彰される

というものです。よくメディアで見られる表彰台の写真は、2、です。

ポイントは、

ミシュランのように、出品希望のあるなしにかかわらず、厳格なシークレット調査するのではなく、出品したブランドのみ審査する。

洋菓子のW杯のように厳しい実技、審査を受けて勝ち残り、順位が決まるようなものではない。

点です。この基本を知らないと、ときどき見かけてびっくりしますが「サロン・デュ・ショコラパリで表彰された=世界一」という、大間違いにつながります。

あやふやな報道でもまるっと鵜呑みにする日本人、勘違いしているのは日本人だけ、となるのは、恥ずかしい気がしますので、ぜひ覚えておいてください。

私の表記では「CCC」とします

 

私は、パリのチョコレート愛好家団体「クラブ ド クロクール ドゥ ショコラ」を「CCC」と略して統一表記します。

「.」がよく、Cの間にありますが、「クラブドゥ.クロクールドゥ.ショコラ」とかくとわかるように「.」に違和感がありませんか?(フランスで仕事をしている方が実際のところ違和感がある、とおっしゃっていました)

よって . は、媒体基準があるときに限り使います。私の情報発信では使いませんので、ご了承ください。

 

サロン・デュ・ショコラ パリ表彰に「世界一」が仮にあるなら複数

 

よくあった間違う表現がこちら。

「パリのサロン・デュ・ショコラで金賞を撮って世界一になった」

こういう報道は、さすがに今、なくなりました。情報が拡散するグローバルな時代になったからでしょう。「サロン・デュ・ショコラパリ」や「CCC」が、世界一を決める場ではないと、多くの方がわかったからだと思います。

実際のところ、CCCの審査は、1位や2位、「優勝」を決めるものではありません。「分析的」というより「感覚的」なところが垣間見えて、それが特徴で、人間らしくておもしろいのです。

金、銀、銅、と言いながらも、オリンピックのような、統一された厳格な選考基準や採点法はなく、金も銀も銅も、たーくさんいます。金は、1チーム、一人、というわけではありません。

 

2019年はCCCは審査・評価をしていない


媒体の方にも、チョコ関係者のみなさんにも参考になると良いと思いますので、さらにまとめます。

まず、CCCは、パリで1981年に誕生した、チョコレート愛好家団体。CCCの会員の中から何名かが審査員となり、毎年チョコレートをテイスティングしてすべてに「金・銀・銅」の三段階評価をします。どのチョコレートを、かというと、ほとんどはフランスのもの。海外からエントリーがあると、海外部門としてフランスとはわけて評価をします。海外からのエントリーは、日本が最も多いです。

ミシュランとの違いは、出品依頼のあったブランドを評価すること。

オリンピックとの違いは、金銀銅につき1ブランドが選ばれるわけれではなく、毎年、金に何十ブランド、銀に何十ブランド、と多数のブランドが評価されます。

評価結果は、一般書店では販売されていない、独自出版の小さなガイドブックにまとめられます。これは主にサロン・デュ・ショコラ パリの会場、またはオンラインで買えます。

さて。このようにまとめると、日本人の私たちはそうか、毎年そういうシステムなのか、とかっちり、整理しようとしますよね?しかし。実際は、コロコロかわります。

毎年いろいろ変わりますが、まぁ、今年の変わりっぷりは特にすごく、なんと!審査自体がありませんでした。

何度も今年はこうなのね、とか私は客観的に見ていましたが、まさか審査自体がないって、さすがにびっくり。

CCCはチョコレートの愛好会です。国に関わる組織でもなく、世界コンクールでもなく、厳しい規約があるわけでもないので、何をしようが主催者の自由。それがこういうところからも、よくわかりますよね。

いろいろ事情があった、と聞こえてきていますが、とにかく、活動の軸と対外的には思われていた「評価」する機能が動かなかった、驚くべき2019年でした。

 

CCCという、フランスのチョコレート愛好家団体による評価

 

評価をしないのにガイドブックに何を掲載するのかな?とチョコ関係者なら誰もが思ったことでしょう。私もどうするのかなーと思っていたところ

今年は独自に「100人のショコラティエ」を選んで、掲載していました。

そうきましたか、という感じです!つまり、CCCという愛好家団体が「よいショコラティエである」と、これまで関わりのあったショコラティエから、独自に選んだ100人です。CCCファミリーといった感じで、見ていて楽しいものです。

ただし、報道関係のみなさん。注意したいのは、これは世界のベストショコラティエ100人、ではありません。

ポイントは、CCCがこれまでに関わってきたショコラティエの中での100人、というのがポイントです。

素晴らしいブランドやショコラティエが100、集まっていることに決して間違いはないのですが、特に海外ブランド、日本のブランドは、これまでCCCの審査に積極的にエントリーし続け、友好的な関係を築き、評価を得てきたブランドが選ばれています。

CCCは(特に海外ブランドは)エントリーブランドだけを審査するため、(先に書いた通り変化が多いので過去のことはわかりませんが)、CCCに友好的でないブランドは、当然100に選ばれないと考えてよいでしょう。

ジャーナリストの方、報道関係の方に、もうひとつ強調したいです。世界中には、CCCと関わらないチョコレートブランド、ショコラティエの方が星の数ほどいます。むしろそっちのが多いです。

CCCの審査に興味を持たず、エントリーしない方針のショコラティエが世界ではほとんどで、フランス本国にすら多いです。そこを見逃しての情報発信は、偏ったものになります。

日本のチョコレートブランドは、サロン・デュ・ショコラパリの出店数がフランスに次いで2位。

ここからわかることは、日本のチョコレートブランドは、サロン・デュ・ショコラパリに出て、CCCで評価を得ることに世界一積極的な国だということ。パリに出店したという事実、CCCから評価を受けることが、メリットになるということ。(NHKの番組でも言及されていたように)マーケティング的に、大きな価値・効果を見出す国だということです。

もちろん、サロン・デュ・ショコラパリに出店すること、チャレンジすることは、世界の関係者とのつながりを作れること、またブランドの知名度を上げることにつながり、大きなメリットがあります。

 

サロン・デュ・ショコラパリに「金賞」はない

 

もうひとつ、補足です。

CCC評価に「金賞」はありません。

日本では「金賞」という言葉の通りがよいせいか、たびたびそう訳されますが正確には、三段階評価(金、銀、銅)の、金でした、という意味。通知表の3、2、1、の3だった、というイメージです。

オリンピックは、金メダルを獲得するのは、1チームまたはひとり。しかし、CCCの金に、数の制限はありません。ガイドブックをひらけば一目瞭然、金評価ブランドが何十も、ずらりです。

なので、CCCの金評価を世界一とすると、世界一がものすごくたくさんあることになります。(これはインターナショナルチョコレートアワードも同じくです)

 

アワードは特別賞のこと

 

「サロン・デュ・ショコラパリでアワードを獲得」

これも解説しておきましょう。私は、あるブランドの代理としてパリで表彰台にのぼり、アワードを受け取ってきたことも、依頼をうけて日本の審査に関わったことも、関係者さんの話もいろいろ聞いているので、感覚としてわかるところがあります。

アワードは、CCCが毎年作る「いろいろな賞」「なんとか賞」です。厳格な分析結果でなく、「応援」「友愛」などの、感覚ベースな楽しいイメージがあります。

たとえば、CCCに出品し始めた新しい日本ブランドに対して「よいショコラを作っているブランドだね、はじめまして、CCCはあなたたちをウェルカムしてますよ、これからも期待しています」みたいな気持ちがこもっている感じ。応援・ウェルカムイメージだったりもします。

表彰式は、ブランドやショコラティエに大勢の人が表彰台に集まり、毎年壇上で顔をあわせるショコラティエがおしゃべりしていたりして、楽しげ。

なんとなく、雰囲気が伝わりますか?読者の方にも、そろそろわかってきたかもしれませんが、そもそも、そんなに正確に厳密に執り行われるものではないです。

オリンピックや洋菓子の世界コンクールとは違い、私などは、人間味があっておもしろいな、と感じているくらいです。

もちろん、アワードはCCCのみなさんが認め、応援されている証なので「おめでとう」と素直に私もうれしいです。ただアワード受賞=世界一とか、世界のトップ100、などといろいろな勘違いしている日本人がときどきいると、すごい違和感を私は感じています。

私が番組でもお話したように、多くの日本のショコラティエがサロン・デュ・ショコラパリに出店、CCCに出品、チャレンジしているのは素晴らしいこと。

ただ、最低でも上記のような基本を理解しておくことが、日本人、そして消費者の知性だと思います。サロン・デュ・ショコラパリでの評価に触れたときは、権威、とかではなく、なごやかに楽しさを感じながら、チョコレートを味わってみてはいかがでしょう。

「サロン・デュ・ショコラパリ」自体については、先日、CEOのジェラルド・パラシオさんとその役割や意義について、直接いろいろなお話をしました。興味深い内容なので、いつかぜひまたどこかで書きたいと思っています。

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チョコレートジャーナリスト  市川歩美

NHK総合「クローズアップ現代+」市川歩美出演&サロン・デュ・ショコラパリ 、CCCについて

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