【The Chocolate Journal チョコレートニュース】
こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
2022年3月28日に「明治2022Newアクション」と題した発表会があり、明治の松田克也社長が登壇。サステナブルカカオの調達を100%にするという目標や、カカオの豆以外の部分を100%使って商品を開発することを発表しました。
明治の新しいサステナブルなアクション
2006年から「メイジ・カカオ・サポート」を展開し、社員がカカオ産地へ直接出向き、支援を続けてきたし明治。これまでの結果や、経験を踏まえた、新しいアクションを発表しました。
チョコレートの原材料・カカオの産地は、日本から遠いところにあります。よって、私たちは、産地での問題を感じにくいという状況があります。
しかし、西アフリカをはじめ、中南米、南米などのカカオ産地には、以前として森林破壊や、児童労働などの社会問題があります。
2026年までにサステナブルカカオ100%をめざす
チョコレートの未来のため、明治は「2026年度までに、調達するカカオのサステナブルカカオ豆の比率を100%にする」という目標を掲げました。
「サステナブルカカオ豆」を「カカオ産地の農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆」と、明治は定義しています。
では、現在のパーセンテージは、どうでしょうか。取材によると、2022年3月現在のサステナブルカカオ調達率は、約35%です。
目標を達成すれば「2026年度までに、明治のすべてのチョコレート製品が、サステナブルカカオ豆から作られる」ことになり、消費者は、安心感を得ることができます。
遠い国でカカオを作ってくれている人たちが、企業からサポートを受けているとわかることは、チョコレートファンにとってうれしいことではないでしょうか。
カカオを100%使う ホールカカオの活用
3月28日の発表会で、さらに松田社長は「ホールカカオ活用」を宣言しました。
ホールカカオとは、カカオすべて、という意味です。
明治は今後、チョコレートになる「カカオ豆」だけでなく、カカオの種のまわりの果肉(カカオパルプ)、さらには、カカオの実の外側の殻(カスカラ)や、カカオハスク(カカオの皮)やジャーム(胚芽)を健康資源化する計画があります。
カカオを栄養食品として
また、カカオ豆に含まれるカカオフラバノールエキス、カカオグラニュール。ホワイトカカオミルクなどの新素材を活用して商品を作り、販売する予定です。
華やかなピンク色のカカオフラバノールエキスは、2022年サロン・デュ・ショコラで限定販売された赤い「カカオポリフェノールソルベ」に含まれていました。チョコレートファンにはおなじみですね。カカオポリフェノールを豊富に含むエッセンスです。
カカオグラニュールは、カカオ栄養食品として、ホワイトカカオミルクは将来的な販売を目指して検討をはじめています。
カカオは熱帯地方で栽培・収穫されるフルーツですが、チョコレートに使われているのは、カカオのタネで、それは実はカカオ全体の約10%なのです。
カカオハスクをカップや家具に
会場では、カカオハスクを配合した紙、お茶などを飲めそうなカップ(容器)が発表されました。ハスクを配合した家具も、すぐにではないものの、開発を進めていくそうです。
さらに、「情報発信の進化」をテーマに、顔が見えにくいカカオ生産地や農家について、さらなる情報発信を行っていくという明治。今後の取り組みに注目しましょう。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美