サロン・デュ・ショコラパリは、実は有名な「スリの仕事場」です。日本人は格好のターゲット。ショコラを楽しむためにも、本気で、注意してください。
サロン・デュ・ショコラ パリでスリ被害が多発
こんにちは。今パリです。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
サロン・デュ・ショコラパリへ行くために、パリ入りしている日本人のみなさん。注意喚起したいことがあります。
本気でスリに気をつけて!
サロン・デュ・ショコラパリ。華やかで楽しいショコラのイベントの舞台裏で、スリ被害が多発しているのです。特に日本人は格好のターゲットです。
私たち日本人は、治安がよく、安全な国に暮らしているので、きっとショコラの祭典に悪い人なんていない、と信じて疑っていないようにみえます。日本人はパリの会場で、なんとなく、ふわふわっとしている感じ……。
サロン・デュ・ショコラパリに、サロン・デュ・ショコラ東京のような気分で出かけたら、危険。会場はスリだらけ、と思ってください。
しかも、「敵」は、凄腕のプロフェッショナルなので、こっちも本気で身を守らなくては、太刀打ちできません。
慣れている気でいる人も気をつけて(私でしたが)
なぜ私がこんなにリアルに語るかというと、(フォロワーさんはよくご存知だと思いますし、チョコレート関係者さんやシェフのみなさんの間ではもはやだいぶ有名なネタですが)私自身が、被害にあったからです。
それは2年前のこと。思いもかけないことで、信じられないくらい大変でした。帰国する日の午後、サロン・デュ・ショコラパリの会場で、あっという間に、パスポートとお財布入りのポーチをバッグから抜き取られて帰国できなくなったのです。結果、パリに余分に3泊することに……。
参考までに、私のケース。驚くべきポイントはここです。
- ファスナー付のバッグだったのにとられていた
- バッグにポーチを入れた、5分後にファスナーを開け、抜き取られていた
- 盗まれた僅か30分後、クレジットカードでキャッシングが4回試されていた
- バッグを触られた感覚が、皆無
敵は、スリのスキルを磨き続ける、本物のプロフェッショナル集団。私はよくパリに出かけるので、慣れていたつもりですが、一瞬の隙を、彼らは見逃さないのでしょう……。
スリにあうとめちゃくちゃ大変
詳しいことは1時間くらいセミナーが開けるほど、いろいろなことがあるんですが、サロン・デュ・ショコラ会場で(というかパリで)スリにあうと、どれだけ大変か、をまとめておきます。
- まず警察へ行くものの(被害届を作るため)3時間以上待つのは当たり前
- 警察にはスリにあったらしき人が列をなして座っている
- 日本大使館へ出向き、仮パスポートを申請する手続きがかなり大変
- 帰りのフライトが確定されていなければ、大使館で仮パスポート申請できない
- 仮パスポートは翌日以降発行されるため、基本当日は帰国できない
などです。パスポートだけでもこれ。
何を盗まれたかにもよりますが、とにかくどれだけ面倒で、大きなストレスかは、別の場所でがっつりお話したいほどのものがあります。多くの方が入っている保険だと、帰りの飛行機代は自費になるとおもいます。
パリの警察も「サロン・デュ・ショコラでのスリ被害が多発」と
これもぜひお知らせしたいです。警察でのこと。私が警察で、まず事情を話すと、受付の女性が「あー(やれやれといった表情)、またサロン・デュ・ショコラですね。被害者がとても多いんですよ」。ええええ、とその場に座り込みたいくらい、大ショックでした……。
日本大使館の担当者の方にも言われました。「毎年この時期は日本人のサロン・デュ・ショコラのスリ被害者がとても多いです」。
本当にショック。だって夢のようなスイートな話しかメディアは語らない。私もそうでした。パリに比較的慣れた私ですら知らず、スリに気をつけてとは聞いた事はあっても、ここまでの話を、誰からも聞いたことがなかったから。
でも、実際、話を聞くと、会場でシェフが何人も会場でスリや盗難にあっています。日本人客もスリ被害の事例がいくらでもあるそう。
青木定治シェフは、サロン・デュ・ショコラパリの会場で、「会場の日本人をみていて「油断していて危ないな」と感じることが多いから「気をつけてね、狙われているよ」と教えてあげることがありますよ」と話してくれました。
パリ在住の関係者の方に話を聞くと「サロン・デュ・ショコラは入場料を支払っても稼げる、スリの仕事場」と言っていました。この事実、私は実感として納得できます。
パリでスリを防ぐ最低限の注意点
花の都、ロマンチック、アート、ファッション、スイーツ、ショコラ。美しいイメージのパリ。
確かにそれも事実ですが、パリのリアルを知る人は誰もが現実を理解しています。パリの治安は、決してよいとは言い難いのです。
日本のチョコレート愛好家のみなさん。もう一度はっきりいいます。「サロン・デュ・ショコラ 東京」とは、ワケが違います。悪い人がたくさんいるところなのです。パリで有名な「スリの仕事場である」くらいに心得て。気をつけすぎるくらいで、ちょうどいいです。
最低限これは守ってください。
- ファスナー付バッグを持つ(当たり前)
- ファスナーの開け口は必ず手前に(これはマスト)
- 荷物はできればしっかり抱える
- カメラで写真を撮っているとき、ショコラに夢中になっているときこそ注意
最後までショコラを楽しむために、帰国まで油断しないでください。メトロ内、オペラ周辺などの観光地でも、被害が多発しているそうです。街中でも気をつけてください。
最後に数あるエピソードから、あえて怖い話をします。某人気シェフによると、パリのあまり治安がよくないとされるエリアを歩いていた知人が「いきなり数人に建物のドアの中に引っ張りこまれ、金目のものを全部とられて放り出された」とか。そういうことだってある街なのです。
注意すれば大丈夫。パリもショコラも満喫できる
私はもちろん、フランスの素敵なイメージを発信したいと思っています。
しかし一方で「観光大国のイメージを崩さないために」との配慮から、こうした現実をみなさんに伝えないことは、結果心理的ダメージの大きさから、一生忘れられないレベルのイメージダウンにつながります。日本のためにもフランスのためにもならないと、私は考えます。
自分で身を守ればもちろん楽しいパリ。そして、魅力あるショコラの祭典です。
パリを、楽しい思い出にするために、サロン・デュ・ショコラ パリや、パリ旅行へ出かけるご友人の方がいたら、この記事をシェアしてあげてください。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美