こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
フランスのパティシエ・ショコラティエ、Franck Fresson(フランク・フレッソン)さんが、9月19日の夜、お亡くなりになりました。
日本のサロン・デュ・ショコラに、何度か出店してたことから、日本ではチョコレートファンにお馴染みです。53歳でした。
参考記事
Franck Fresson, pâtissier et Meilleur ouvrier de France, est décédé
LeRépublicainLorrain(フランスのメッスが拠点の地方紙)より
親しい方のお話によると、フレッソンさんはご病気と戦っていたそうです。心からご冥福をお祈りいたします。
フランク・フレッソンとは
フランク・フレッソンさんは、フランス北東部のロレーヌ地方の小さな町、ジャルニーに店を構えるパティシエ・ショコラティエで、2004年にフランス最優秀職人章(M.O.F)を受章しています。
1922年創業のパティスリーの3代目だったフレッソンさん。ロレーヌ地方では有名な、地元の名士的な存在で、地域の人々に長く愛されてきました。ジャルニーに続いて、2店舗目としてオープンしたのはメッスのお店。(このお店は、2019年にフレッソンさんの友人のパスカル・カフェに売却されています)
フランク・フレッソンは、日本ではチョコレートが有名ですが、ジャルニーでは、お菓子やお惣菜なども売るパティスリーで、「パリ メッス」というお菓子がよく知られています。
「パリ メッス」は、メッスのあるモゼル県にTGV が開通したことをお祝いして、2008 年に作られました。ラズベリーの味とパウダー状のキャンディチップスをまぜたクリームをサンド、3色のマカロン生地が美しい、かなり手の込んだマカロンです。今や、メッスの名物となり、多くの地元のパティスリーやパン屋さんが販売しています。
日本ではサロン・デュ・ショコラに出店
日本ではサロン・デュ・ショコラに出店があったことから、パティスリーというよりも、チョコレートが有名になりました。もちろんショコラのクオリティはかなり高く、ロレーヌ地方で、そしてバレンタインシーズンには日本でも、愛されていました。
フランク・フレッソンが日本で販売したチョコレート
フランク・フレッソンのチョコレートは、2019年、8年ぶりに日本のサロン・デュ・ショコラで販売されました。当時のチョコレートが上の写真です。
私の印象は、ショコラが精巧で、美しい。パッケージにもショコラにもストーリーにも、別に全く奇を衒うことなくこれこそが王道、ショコラで勝負。味がピタリピタリ、と決まっています。求めるレベルが高い方であることが細部から伝わってきて、これがロレーヌ地方のパティスリーで販売されている、職人の手作りショコラか、と感じ入ったのを覚えています。
写真の13個入り「ショコラアソート」は、そばの香り高い「そば茶」、キャラメリゼしたシナモン風味が広がる「セイロン」、カフェオレをボンボンショコラであらわした「ジャヴァ」、パッションフルーツのきりっとした甘酸っぱさがボンボンショコラ「パッション」などがセットされていました。
左手前は「ミヌレイ ロレーヌ」という名のチョコレートボックスで、チョコレートのごつごつした形は炭鉱の鉄鉱石をあらわしています。ロレーヌ地方は、かつて炭鉱業が栄えた地でもあるのです。味わうとなめらかなジャンドゥーヤの中に、砕いたヘーゼルナッツが。良質なヘーゼルナッツの風味が、表面にまぶしたカカオパウダーの苦味とあいまって、大変バランスがよく、気に入ったのを覚えています。
ふみこんだ別記事も
フレッソンさんは、多くのパティシエ・ショコラティエと親交があり、心を痛めている方のお声を直接お聞きしています。
一般向けのショコラティエの情報の多くは、販売を目的とするものです。妙にキャッチー、紋切り型、するりとした内容もあり(私にとってはです)、体温が感じない「アイコン」に見えることも。
私はできればふつうの情報を知りたく、伝えたい方なので、私が聞いている限りの、仕事に恐ろしく厳しくも完璧主義で温かな職人だった、そんなフランク・フレッソンさんについて、改めて別の記事に書きます。
フレッソンさんのチョコレートがお好きだった日本のファンは、深く心を痛めていることでしょう。心からご冥福をお祈りします。
*追記
オープンに書きづらいこともあり、あえて限定公開記事にしました。情報を求める方、情報への理解のある方に情報を届けたいので、あえての有料記事です。かなり時間をかけ、フランク・フレッソンさんと親交が深かった本間友梨さんと心をこめてやりとりして書きました。
あのチョコレートを作っていた、フランク・フレッソンさんとはどんな職人だったのか。
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https://chocolatejournal.fun/archives/20220922.html
text & photo チョコレートジャーナリスト 市川歩美