こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
この記事では、メキシコのチョコレートを使った料理ソース「モレ」について、詳しく知りたい方のための情報、私自身がメキシコを取材・体験して書いた記事を紹介します。
メキシコのモレソースとは?
まず「モレ」とはなにかを、説明します。
現地表記は「Mole」、メキシコで「モレ」はソースの総称です。日本では「モレ」あるいは「モーレ」と表記されることもあります。
日本ではとかく「モレ=チョコレートやスパイス入り料理ソース」として話題になりますが、
説明したように、モレ=ソース。ですから、メキシコのモレ(ソース)の中には、チョコを使わないものもたくさんあります。むしろ、チョコを使わない「モレ」の方が多いかもしれません。
メキシコには、モレが有名なエリアがあります。それがプエブラとオアハカ。
1 プエブラ州
日本のメキシコ料理店でもメニューとしてよく見かける「Mole poblano (モレ・ポプラーノ)」。これはメキシコのプエブラ州に由来します。チキンにチョコレート入りのソースをかけた料理。
2 オアハカ州
私はこの州で、がっつりモレ体験してきました。オアハカには、7種の代表的なモレがあります。モレといえばオアハカ、などという人もいるほど有名な州です。詳細記事はこちら
モレ・コロラディート(赤のモレ)の中身は?
それでは、モレは、どのように作られるのでしょうか。
それをリアルに理解するため、私はメキシコのオアハカへ飛び、現地で学んできました。その体験を簡単に、まとめます。
教えてくださった先生は、料理のプロフェッショナルの、ノラ先生です。レッスン内容は「モレ・コロラディート(赤のモレ)」作り。
ノラ先生と一緒に作ったモレのお味は、かなりレベルが高かったです。こうして書いているだけで、なんだか思い出して食べたくなるほど。少なくとも私が数件、現地のレストランをまわって味わった中では、ダントツの美味しさでした。
レッスンは、ノラ先生と一緒に、お買い物に出かけるところから始まります。メルカド(市場)へいって、モレに使う材料をそろえることで、モレへの理解は深まるのです。
メキシコらしいデザインのカゴをもって、歩いてメルカドへ。メルカド(市場)では、新鮮な食材をリーズナブルな価格で買えます。
「まずは野菜、そしてチレはこの種類」「次はこのスパイス」と、市場を買い回ります。買ったものをキッチンで広げたのが、下の写真。
えっ、こんなに色々なものが入っているの?
という感じかもしれませんね。私は、リアルに現地でそう思いました。上の素材全部が、ソース(モレ)になります。
<内容>
トマト、バナナ、チレ(地元の唐辛子)4種類、ゴマ、オニオン、ガーリック、クルミ、アーモンド、干しぶどう、プルーン、スパイス(オレガノ、タイムなど)、パン、そして、地元のカカオで作られたチョコレート
種類が多く、ヘルシーなものばかりだと、思いませんか?
モレはメキシコのあたりまえのものを使ったソース
日本からの目線だと、モレには「変わったものばかり」が入っている印象かもしれません。
でも現地・メキシコでは、当たり前のものばかり。市場で安く手に入って、キッチンに毎日のようにあるものばかりです。
つまりこういうことです。モレはメキシコの身近な食材を使ったソース。私は、現地で体感したからこそ、実感できました。身近なものを炙るなど下ごしらえをして、最終的にぜんぶすりつぶして混ぜたのがモレ。
そして、モレは、きちんと作ると本当に美味しいです。メキシコの市場にならぶ、現地素材のハーモニー。カカオ(チョコレート)、メキシコに何十種類も存在する「チレ」(唐辛子)、ナッツ、スパイスなどが、複雑に、重層的に絡まりあっています。
メタテとマノのかわりにミキサーで
チョコレート・カカオに詳しい方ならご存知だと思いますが、昔は、これらの素材をすりつぶすために、メタテとマノ(メキシコのカカオをすりつぶす道具)が使われていました。
しかし現代は、さすがに全て手作業ですりつぶすのは大変なので、フードプロセッサーやミキサーが使われます。
チレ(地元の唐辛子・あまり辛くないです)4種類はあらかじめ炙っておきます。ゴマ、オニオン、ガーリック、クルミ、アーモンド、干しぶどう、プルーン、トマト、バナナ、パン、それらをすべてミキサーにいれてすりつぶし、鍋にうつしかえて、焦げ付くことにないようにあたためます。オレガノやタイムなどのスパイスとともに、チョコレートを加えるのもポイント。
チョコレートはキッチンに常備してある
オアハカは、チョコの街としても有名。この街の多くの家庭には、キッチンにチョコが常備してあります。チョコレートの店でチョコを手に入れ、瓶にいれて、いつでも使えるように常備してあるというわけ。
ただし、同じチョコでも、日本とは全くものが異なります。
どう違うかというと、ボンボンショコラのようなものでも、日本で一般的な板チョコのようなものでもありせん。カカオをすりつぶしたばかりのチョコペーストを、かためたようなかたまりです。
オアハカのチョコレート店とは、ボンボンショコラが売っているようなところではなく、「カカオからその場でチョコを作ってくれる店」のこと。カカオをすりつぶしたばかりの、出来立てのあたたかいチョコペーストを持ち帰って、自宅で冷やし固め、それを割って瓶に入れたものがキッチンにストックしてあります。
カカオがチョコレート店ですりつぶされ、キッチンにストックするまでの一連の流れを、私も体験しました。
市川歩美による、モレソース体験記事
これらのモレ体験は、オールアバウトでも記事になっていますので読んでみてください。
チョコレートソース「モレ」って?現地メキシコで体験
text 市川歩美
メキシコではカレーのように一般的でカジュアル。そんな料理がモレです。メキシコの歴史と文化を感じられます。
私と同じモレ体験、メキシコ食文化体験したい方へINFO
ここで、インフォメーションです。
私のように、現地のお料理レッスンをノラ先生から受けたい方がいるかもしれませんよね。そんな方への情報です。オアハカ在住のガイドさんを、ご紹介します。私もコーディネートをお願いした素敵な方なので、みなさんにシェアします。
メキシコ観光の佐藤さんは、お料理レッスンのコーディネートもしてくれます。美味しいうえに、レッスン場所の先生のご自宅が美しく、きっと感激します。メキシコの文化を肌で感じられると思いますよ。。英語ができればパーフェクトですが、日本語の通訳もお願いできます。
(チョコのジャーナリストの市川歩美と同じレッスン、と書いてくださって問題なしです)
メール:mexkanmx@mexicokanko.com.mx(メキシコ観光 佐藤さんまで)
*参考記事
チョコレートソース「モレ」って?現地メキシコで体験
(All About text 市川歩美)
text チョコレートジャーナリスト 市川歩美