【The Chocolate Journal チョコレートレポート】
こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。バレンタインが終わり、ちょっと時間ができたので、バレンタインに感じたことや体験したことを書いておこうと思います。
この記事は、松屋銀座のバレンタイン催事に出店していた「蕪木」についてです。2月13日、バレンタインの1日前に、やっと!という感じで、銀座へ午後になってでかけることができました。
プレス発表会の時から気になっていたのです。松屋銀座のバレンタインに初出店、会場でショコラショーを提供する、とのことで、あの陰影ある静かな店が、蛍光灯に照らし出された賑やかなバレンタイン会場に?
最終日の1日前、蕪木のカウンターへ足を運びました。
松屋銀座ブースにて
もちろん、蔵前のお店には何度も出かけています。陰影があり、静かにショコラショーやコーヒーなどを味わいながら過ごしたい人向けですね。
私も、一緒に出かけた方とはほぼおしゃべりせず、したとしても極力小声。本を読んでいる方を何度か見かけましたが、私は本は、どちらかというとこういうお店で読まない方なので、ショコラショーを味わい、そうは長居しない感じ。他にない雰囲気が魅力ですね。
なんというかこの佇まいがあっての蕪木、みたいに勝手に思っていたので、銀座のしかも百貨店の催事場という対極的な場所でどうなるものなのだろうと考えていたのでした。
松屋銀座のバレンタイン催事会場にて
会場に着くと、当たり前ですが百貨店ですから照明が平たくあたって明るい。カウンターに座ると、スタッフのみなさんが忙しそうに作業しているのも、よく見えます。
ただ、すぐに思ったのです。なんか、ラクかも。
背後から聞こえてくる、人々の声もBGMとまではいかないけど、いいかんじ。逆に、ほどよく落ち着くし、リラックスしている自分がいるのです。
白いカウンターでショコラショー
私がオーダーしたのは「クラシック」と言いう松屋銀座限定のショコラショーです。ベネズエラとエクアドルのカカオをブレンドしたオリジナル。
テーブルにはこんな風に届きました。そわそわするどころか、まったく違和感なし。
何よりショコラショーが、自家製チョコレートのスペシャルなブレンドとあってとてもおいしい。さらりとしたテクスチャー、完全になめらかでなく、粒子を感じてまたよい。
そして意外だったのは「味がよくわかる」と感じたこと。やっぱりリラックスしているのかも。このカップとソーサーの音も(私は同じメーカーのものを家で愛用しています)、よりよく耳に届く。なんだかより落ち着けているかも??
お花とテーブル
とはいえ、すぐに蕪木さんらしさを見つけました。お花とテーブルです。テーブルは蔵前の蕪木の一室で使われているものだそう。
ビチェリンも美味
限定の「ビチェリン」もいただきました。私はトリノの街で、ビチェリン巡りをし、おなかいっぱいになって晩ご飯がほとんど食べられなかった……という経験の持ち主。笑
蕪木のビチェリンは限定メニュー。カカオの風味が生きています。グラスの形がよく、ステムの持ち心地がいい。
コーヒー豆と自家製チョコレートの風味を工夫して調和させたことを、カウンターごしに、スタッフの木村さんが教えてくれました。
思い込んでいることって多いものです。誰かにとって落ち着く場所は、誰もが落ち着くとは限らないし、趣味は人それぞれ違い、私はとくにその日の気分によって、変わります。
(余談ですが、私は気分によって行きたい場所もファッションも変わり、最近はしょっちゅう髪型まで変えてしまうのです!)
なんてことも含め、自分の中で新たに整理できたことがあり、スタッフの方とおしゃべり、多くの意見交換ができたのもうれしくて、感謝。心地よい時間となりました。
バレンタインまで毎年私はスケジュールがいっぱいで、ゆっくりできる時間が皆無です。なので、バレンタインが終わってから、振り返ってのお話ですが、このことは今年のバレンタインで、記憶に残る良い思い出になりそう。
コラボ流行りで、コラボ自体にときめくことは、実は私はそうしょっちゅうないんですが、ここでは意外な化学変化を体験させていただきました。
text&photo チョコレートジャーナリスト 市川歩美