コロナをきっかけにやめてよかったことーチョコレートジャーナリストの日々(心地よさを考える)

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こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。2020年7月後半です。チョコレート愛好家の「チョコレートジャーナル」読者のみなさんは、いかがお過ごしでしょうか。

今日は久しぶりに、チョコの話ではなく、チョコレートジャーナリストの日々として、私の仕事の話。仕事に関わるテーマに興味のある方だけ、読んでください。ここのところ、仕事をするうえで感じていることを、まとめておきます。ちょっと長くなるかもしれません。

目次

コロナを機にやめて快適になったことが多い

コロナ禍で不自由を感じることは多いですね。私の拠点は東京で、引き続きさまざまな仕事をしていますが、緊急事態宣言が出てからは移動をほとんどしなくなりました。用事はすべて都内ですませています。海外出張はすべてキャンセル、もしくは延期。国内出張についても延期しました。

外出も、かなり慎重になっています。人とお会いする機会はありますが、本当にマストな方だけ。どうしてもお会いしたい場合や、実際に足を運んで体験しなければ意味がない場合だけです。

こうした制約が生まれたことで、私は気づきました。出向かなくても問題なかったこと、むしろ出向かないほうがプラスに働いていた場面が、思っていた以上に多かったと気づきました。

出向く必要がなかったことに気づいた

ぎっしりと大勢を集めてPRするような場に呼ばれることが、かつては多くありました。今はさすがにほとんどありませんが、仮にあったとしても、よほどの理由がない限り、今は遠慮しています。

理由はふたつあります。まず、感染するなどして私の周囲の方々に迷惑をかけたくないから。もうひとつは、大勢をひとつの箱に集めて「一人でも多くの人に、できればSNSにまで書いてもらおう」という意図のある場では、私はどうしても気が散ってしまい、結果とても疲れてしまうからです。本来きちんと向き合うべき対象のチョコレートに、実はほとんど集中できていなかったのだと、わかりました。

無理してやっていたこと

みなさんは、どうでしょうか。

コロナの影響で、本当に行きたい場所へ行けないのは、もちろん残念。でも一方で、「これまで無理をして出かけていた場に行かなくてよくなり、むしろ心身ともに健やかになった」という感覚はありませんか。

私は、まさにそうでした。親しい方々と話していても、必ずこの話題になります。コロナをきっかけに、「出かけなくても、ちゃんと成り立つとわかりましたよね」というような話です。

「やめてみたら、かえってプラスになった」「実は必要なかった」。そんなことが、思いのほか多かったのです。

つまり、自分が本当は心地よくないことを続けていたんだと気づく。この気づきって、意外なほど気持ちいいものです。やめてみたら、かえってベターになったこと、ありませんか?

私には、やめてみた途端に「今までは一体なんだったのだろう」というくらい快適になったことがいくつかあります。頭の中がすっきりして、気分がよくなって、その結果、仕事もずいぶんはかどるようになりました。

リアルもいいけどリアルでなくてもいいものはそれでいい

コミュニケーションは、リアルがよい場面も多いですが、すべてがリアルである必要はないかもしれません。

合理的な方法を選ぶのは大切で、通話やムービーで十分に成り立つなら、それがOK。お互いに「負担が少なくていいですね。またこんな感じでやりましょう」となれば、お互いにとって心地よいものです。

「会社の会議に、わざわざ時間をかけて出向けなくなったことで、かえって時間に余裕ができました」という会社員の方の声を聞くことも少なくありません。多くの人がこの期間をきっかけに、仕事環境や生活スタイルを見直し、しなくてもよかったことを手放したのではないでしょうか。

誰かの利益のために誰かが安く動きすぎていないか

コロナ前の私の仕事について、少しだけお話しすると、まぁ、とにかく忙しい毎日でした。

ありがたいことではあるのですが、あらゆるPRの場に呼ばれていました。「招かれる」と言えば聞こえはいいものの、実際には「PRのための場」です。

もちろん、PR会社さんやブランドさんが売り上げのために企画していることは理解していますし、できる限り足を運び、期待に応えたいという気持ちはありました。ただ、さすがに限界があります。

私は独立しているので、放送局や出版社の社員さんのように、毎月決まった完全に赤字ですよね。

私はだいぶ元気な方ですが、それでもさすがにヘトヘトになり、あるときふと気づきました。「私が動けばブランドの商品は売れ、PR会社や広報担当者は喜ぶ。でも、それは本当に私のためになっているのだろうか」と。帰宅後も写真を整理し、SNSに投稿して。こんなふうに自分を削り続けていたら、いずれ立ち行かなくなるよね、とスケジュール帳を眺めて呆然としたことがあります。

そこから私は、根本的に自分の動き方を見直しました。自分の仕事のクオリティを守ること、自分の役割を改めて確認すること。ある意味で、覚悟を決めたのだと思います。

今では、私が心から気になるチョコレートや、信頼できる担当者の方から届く、きらりと光る情報やアプローチにだけ心ときめき、感謝しながら足を運びます。でも何でもかんでも出かける、ということはもうありません。

時代の変化とともにどこを変えると心地よいのか

PRとブランド、そしてメディアを取り巻く構造は、ひと昔前とは完全に変わりました。いまや出版社や放送局に限らず、個人そのものがメディアになる時代です。その変化をふまえて、古い慣習のどこを見直すべきかに気づいているかどうか。それは、少し関わってみればすぐに伝わってきます。

誰かの利益のために、別の誰かが無償で労力を払い続けていないか。搾取に近い構図は生まれていないか。関係性は本当にウィンウィンで、きちんとギブアンドテイクになっているか。

関わる相手をきちんとリスペクトするという姿勢は、SDGsにもつながる、大切な考えです。

自分の動き方を変えてみたことで、私のスタンスを理解したうえで関わってくださる関係者の方が増えました。本当にうれしいことで、心から感謝しています。そうした出会いがあると、私自身も俄然!やる気になります。

理解し合える方とご一緒するほうが、私にとっては断然楽しいですし、結果としてパフォーマンスも何倍にも高まります。

少し話がそれましたが、コロナをきっかけに、何が本当に大切で、何はしなくてもよいのかを考えるスピードが、さらに加速しました。

みなさんはいかがですか?自分だけでなく、みんながしあわせになれる形。それが、ほんとうに気持ちのいいこと。これからも、そんな在り方をより持続可能なものにしていきたいと思います。またときどき、こんなお話も書きますね。

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チョコレートジャーナリスト  市川歩美

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