京子 デュシェーヌさんが教えてくれた「先が読めない」フランスの今。

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こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。

フランスのチョコレート店やパティスリーは、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で「先が読めない」不安を抱えています。私は、さっきまでパリの人気店「ローラン・デュシェーヌ」の、 京子 デュシェーヌさんとお話していました。

▲京子さんとMOFのローラン・デュシェーヌシェフ(パリでAyumi撮影)

目次

京子 デュシェーヌさんとは

私は、京子さんが作るチョコレートが大好き。そして京子さんのお人柄も大好きです。パリのお店でお話したり、去年11月はサロン・デュ・ショコラパリの会場でお会いしたり。

サロン・デュ・ショコラパリの会場で京子さんとローラン・デュシェーヌシェフと市川歩美

チョコレートファンには、すでに有名な方ですが、ご存じない方のために書いておきます。

<京子 デュシェーヌさん>
MOF(国家最優秀職人章)を持つローラン・デュシェーヌ シェフの奥さま。香り高く素晴らしいチョコレートを作るショコラティエールです。おふたりのお店「LAURENT DUCHÊNE」はパリに3店舗あり、きらめくようにおいしいお菓子やチョコレート、パンが並んでいます。

実は、京子さんとはイベントでご一緒になるはずだったため、別件でやりとりしていたものの、今日になって話題が急変。お話しした内容を、要約してシェアします。

▲Vincennesにある「ローラン・デュシェーヌ」にて

京子さんとさっき(2020年3月16日)お話したこと

京子さんとは私の、こんな話から始まりました。

「京子さん、私はあまりフランスのニュースがわからないんですが、今知っているのは、14日(土)の夜7時半頃、フランスの首相が国内のカフェ、レストラン、映画館などに営業停止命令を出したということ。しかも15日の零時からって急ですね。学校は16日(月)から休校で、13日には100人以上集まる行事が禁止されたとか……」

そして以下のようなお話の展開に。

Ayumi(以下A)ー生活必需品のお店は営業してよいとのことなので「ローラン・デュシェーヌ」はパンのお店、として営業していていいんですよね?

Kyokoさん(以下K)ーそれが、今日の夜、マクロン大統領が声明を出すといわれていて(今から7〜8時間後)、その内容によっては、私たちのようなお店も営業できなくなる可能性があるんです。外出禁止令も出そう。国の政策や方針が、まだ入ってこなくてわからなくて、今後閉めなきゃいけないんじゃないかというのもあるので、今3店舗のうち、2店舗は、いったんですが閉めることにしました。

Aーえ、閉めるんですか……

Kーそうなんです。突然、営業禁止、といわれてから対処していては遅いので……。(今回は夜7時半頃、4時間半後の0時からの営業停止命令でした)たくさん仕込みもしていますし、従業員もいますし。だからヴァンセンヌのお店と15区のお店はいったん閉めて、落ち着いてお店をあけられるようになったらあける、という判断をして。13区のお店はパンをやっていますから、こっちは続けるかどうか……。うーん、多くの方に買っていただけているので本当に残念です。

イースターに影響

Aーフランスではチョコレートがいちばん売れる「パック(イースター・復活祭)」の時期なのに……(2020年のイースターは4月12日)

Kーイースターのチョコレートも結構手が込んだのを仕込んでいて、毎年のことながらすごい仕事量で。でもお店をあけられなかったら売ることができません。パックの前に落ち着いたらいちばんいいんだけど、こればかりは読めないです。私たちも、その日のものだけを作るだけでなく、ある程度仕込んでしまっていますし、これからイースターを迎えようという大切なときだから動揺しています。13区のお店だけでも開けていられたら、仕込んだイースターのチョコレートもお店に並べられるんですけどね。

Aーパリの街中で、レストランやカフェがオープンしていないなんてイメージするのが難しいですし、心が痛みます。

Kーパリではたくさんの人がショックを受けています。レストランは、仕込みを多めにしているお店もありますから大変です。私の友達でレストランをやっている人もそうです。家賃、光熱費、家賃は払う必要があるのに、利益ゼロだから
。あとは従業員のお給料の保証も国が100%持つわけではないから、会社はきついですよね。

早くお店を開けることを願って

上の写真は、京子さんが作ったチョコレートです。パリに行った時、パリで私が撮影したものです。本当に美味しくて、見ているとショコラに手をのばしたくなるほど。

イースターといえば、昨年、ローラン・デュシェーヌのイースターエッグのチョコレートが、フランスの料理菓子雑誌「チュリエスマガジン」に掲載されていました。素晴らしかったです。

今年も心をこめて作られた可愛いイースターチョコレートがたくさんあります。でも、ひとつも販売できないかもしれないなんて……。

新型コロナウィルスの感染拡大がおさまり、「先が読める」日が早くきてほしい。パリのチョコレート店が例年のように賑わい、イースターのチョコレートが春をつげてほしいーー。そんな気持ちの私です。

そしてコロナが落ち着いたら、私は京子さんのチョコレートの魅力を、しっかりみなさんにお伝えしたいと思いました。去年、パリで京子さんのショコラをいただいたときは、ちょっとジーンとしてしまったほどなんですから。

また京子さんとお話をすることがあると思うので、その時はチョコレートジャーナルで内容を報告します。

ローラン・デュシェーヌ

*私のほうも、サンフランシスコ後に控えていた海外の仕事の延期、イベントのキャンセルといろいろあります。でも、できるかぎり取材したことや、私に届く情報をお伝えしていきます。

*その後。NHKの報道によると、マクロン大統領が国民にむけて「17日正午から、15日間、生活必需品の購入や医療上の理由、在宅勤務ができない仕事を行うほかは、外出禁止」としました。また「17日正午から30日間は、EU域外からフランスを含むEU加盟国への入国を原則禁止」となりました。

*ローラン・デュシェーヌの13区の区のお店はひとまずオープンし続けることに決めたそうです。がんばって、京子さん!

*続きの記事

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