こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
ベルギーへチョコレート取材に来ました。ブリュッセルを拠点に、アントワープまで足を伸ばしましたが、今日はグランプラスのチョコレート事情について、少し、書きます。
老舗チョコレート店がひしめくグランプラス
グランプラス。
言わずとしれた、ベルギーで最も有名な観光地ですね。観光客向けにベルギーチョコレートの有名店が密集していることでも知られています。
仕事柄、私はいろいろな場所を取材しますが、グランプラスほどチョコレートに「メジャー」感、「主役」感、がある場所はないと思います。一年中、世界中から絶え間なくチョコレートを買う人が訪れ、チョコレートに華があり、しあわせや笑顔とリンクしています。
老舗の有名チョコレート店が多いため、特に奇をてらうことはなく、斬新さに震える、みたいなチョコレートではありません。そっち方面でなく、ベルギーに昔から伝わる親しみやすい、笑顔になれるチョコレート。ギフト向きのエレガントさ。ここからブレていません。
ゴディバ、ノイハウス、ブリュエール、ガレー、メリーといった老舗や、BS40などのチョコレートのセレクトショップ。昨年2018年にはドゥバイヨルがグランプラスにオープン。
他にもグランプラスから続く小さな通りにも、 ちいさなチョコレート店が、そしてこんなところにも、と驚くほどチョコレート店が軒を連ね、1日中、観光客が一軒一軒、チョコレート店を回っているイメージです。
世界中から観光で、または仕事でブリュッセルに集まった方々なのでしょう。
写真や動画を撮影し、チョコレートをお買い物。お茶を飲んだり、おしゃべりしたり。常にチョコレートまわりが明るく、活気があります。
華やかさの向こう側には
一方、華やかに見える向こう側に、実は歴史ある観光地ならではの、問題もあります。
「テロ以来、観光客が減ったのは事実です」。グランプラス近くで13年間、チョコレートショップを営む方はこう話してくれました。
2016年3月に起きたブリュッセル連続テロ事件を覚えていますか?私はちょうど、テロが起きる前月、ブリュッセルにいたので、ニュースを知ったときの衝撃をよく覚えています。事件は、観光地のイメージに関わります。
また、もうひとつ、歴史ある地域であることから、制約も多いのです。グランプラスでは、建物を商業施設として利用するための厳しい制約があり、それを守るブランドだけがお店を開けます。
また、景観を守り続けるための長年の制約と努力もあります。世界から訪れる観光客が「グランプラスの美しさをいつまでも心にとどめておきたい」と感じられるように、しているのです。
こうして、今年もグランプラスがこの地にあること。チョコレートが「主役」級のメジャー感で、息づいていること。それは平和でしあわせな象徴であるのだと、ブリュッセルに身を置きながら、いま、実感しています。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美