こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
東京都(小笠原諸島の母島)で栽培・収穫されたカカオを使って、埼玉県草加市で作られたチョコレートを、ご存知ですか?
小笠原諸島母島産カカオによる国産チョコレートって?
すでに私もSNSや記事に書いたりしましたが、改めて夢のある話です。
東京都内、小笠原諸島で栽培されて収穫されたカカオが、埼玉県でチョコレートになり販売されていあす。
以前から取り組みは知っていました。しかし何しろ実感がわかないうえに、何がどうなってそういうことなのか、霧に包まれてるような感じだったのです。
そして9月。草加市の平塚製菓さんへお邪魔してやっとわかりました。
そしてびっくり。
えっ、こんなことあり?ヤマト運輸さんで、草加市に、カカオポッド(カカオの実)が配達されている……。
カカオポッドがヤマト運輸で草加市に届く
宅配便の段ボールを、社内に伺い、目の当たりにしたときに実感がわきました。
カカオはトロピカルフルーツ。ガーナやメキシコなどにあるもの。日本で、こんな光景見たことない!
ご存知のとおり、カカオは赤道に近い国、カカオベルトに位置する生産国で栽培され収穫されます。宅配便って配達されてくることは、通常ありません。ヤマト運輸さんが都内の農園から草加市に届けるとは、レアな話です。
どういうことですか……?
などと、実際に私はラボラトリーで社員のみなさんに聞いたり、独り言をいったりして、次第に国産のカカオで、都内で栽培されたカカオが存在するのを実感しました。
平塚製菓さんの社内にあるラボラトリーでは、こんな様子も。
カカオの実を次々と割って、カカオ豆を取り出しています。カカオの発酵まで、この草加市のラボラトリーで行われています。
カカオ豆の発酵も乾燥も草加市内で
このように発酵もしているのです。(カカオ豆)
カカオの実を栽培し、発酵・乾燥のプロセスをも国内で手がけ、チョコレートを作る。ちょっと珍しい光景です。しかもここは本州です。というか埼玉です。
さまざまな工程を経て、完成したのがこのチョコレート。
東京産のカカオだから、ということで江戸切子をデザインモチーフに取り入れています。
発端は、平塚社長の夢
このチョコレートは、平塚製菓の社長の「こんなチョコレートがあったらかっこいいな」が形になっています。
「2003年に業界の方たちと一緒に、ガーナでプランテーションをみたんです。小規模な農家でした。カカオの木を見るにつけ、ああ、これがぼくらの飯のたね。チョコを生業にしているのによく知らなかった。身近に木を植えたいな、実ってチョコを作ったらどんな味になるな、できたらみなさんに配ってみたいなと思ったんです」と平塚正幸社長。
「最初はやっぱり、沖縄、と思ったんです。私は海が好きですしね。でも、私は東京生まれで、東京育ちです。東京でカカオを植えられたらいいなと思ったときに、小笠原、と気がついた。東京産カカオのチョコレート。できたらかっこいい感じがするでしょう。私は東京産のカカオを作りたかったんです」
その後は、紆余曲折。何年もかけてカカオ栽培に取り組み、母島の折田農園を営む、折田氏に出会ったそう。そして、今があります。
▲取材時に、カカオのお話をされると、まるで少年のような平塚社長&私。タブレットの型を持って。
お取り寄せネットに私が寄稿した記事で
ストーリーをチェックしてください。 クリック↓
東京にちなんだ、江戸切子のデザインもかっこいい。
不可能を可能にした、平塚製菓のみなさんが私は好きです。来年も平塚社長にお会いしたいです。
text チョコレートジャーナリスト 市川歩美