こんにちは。チョコレートを主なテーマに掲げるジャーナリスト、市川歩美です。
現代ビジネス(マネー現代)で、ゴディバ ジャパンのジェローム・シュシャン社長のインタビュー記事を書きました。前編と後編、二本立てです。取材のきっかけは、ネット上に飛び交う「経営不振」という情報。そして多くの憶測でした。
ゴディバ経営不振は誤解でもあった
今年6月、「ゴディバが経営不振」という見出しの記事が公開され、あっという間に話題になりましたね。私ももちろん目にしましたし、チョコレート関連企業の方々と話していると、たびたび話題に上りました。
コンビニ展開でブランドイメージが下がったのではないか
コラボが多く手を広げすぎたのではないか
あらゆる憶測がウェブ上にあふれていました。
ただ、とにかく憶測が多いのです。チョコレートを専門とする私がみると、単純に煽ってアクセスをかせぎたいのかもしれないな、と感じるような発信が次から次へと出てくる印象で、「事実らしきもの」に基づいているような記事もあれば、ぜんぜん的外れ、というものもありました。
それなら、実際にお話をききにいこう。そう思い立った私は早速行動に移しました。こうしたテーマでの取材には通常応じないというシュシャン社長が、今回は特別にとお時間をとってくださり、実現した取材です。
前編 「ゴディバ経営不振報道」は真実なのか
市川歩美執筆記事、前編・後編があります。
前編
「ゴディバ経営不振報道」は真実なのか…日本法人社長が初めて明かした“リアルな経営実態”
こちらでは、ゴディバというブランドの日本での歩みをまとめ、経営実態についてシュシャン社長に率直に語っていただいた内容までを書いています。
後編 最新データで見えた名門ブランドの現在地
後編
ゴディバのチョコめぐる誤解「コンビニに置いたのは失敗、ではなかった」最新データで見えた名門ブランドの現在地
コンビニ展開の狙い、外部調査によるブランドイメージの実際の数字、日本の地域企業とのコラボレーションについてふれています。
ゴディバのイメージはやはり一位だった
どうでしょうか。みなさん、読んでいただいて、どうでしたか?
私も取材をして見えてきたのは、ネット上のイメージとは異なる実情でした。私は放送局で仕事をしていたので、よく「本当のことを知る立場」でした。世間のみなさんがまことしやかに噂していることと、本当のこととの乖離をよく経験してきていますが、それに似た感覚ともいえるでしょう。
忖度のないブランドトラッキング調査で、ゴディバのイメージの良さは顕著。さすがゴディバでした。コンビニやコラボでイメージが下がったのではないか、という憶測はよくされていますが、データにその傾向は全く見えませんでした。
「ギフト・プレゼントで思い浮かぶブランド」ではブランドとして1位、「自分へのご褒美」でも総合1位。もらって嬉しい、自分のために買いたいという項目でもすべて1位ってすごくないですか。
戦略をたてるためのデータですから、ゴディバに忖度したデータをお金を払ってゴディバさんが得る必要はありません。つまり、忖度のないデータによる結果です。ゴディバはブランドイメージが損なわれないかを、常に調査しながら新たな展開をしていることもわかりました。
リストラや閉店も事実無根だった
またリストラや閉店、という言葉が、ふつうにメディアの記事で書かれていましたよね。
これが事実無根だったことにも驚きました。私は実は社員の方にも、何人かに話を聞いています。社長はこうおっしゃっているが、実際はどうなのかと。しかし内部でリストラや混乱などはなく通常通り。社長ご自身は「リストラも、閉店も、全く事実ではありません」「なぜそういうことが書かれたのか、わからない」との話でした。
ゴディバがんばれのメッセージ
2記事めの最後に書きましたが、私がうれしかったのは、今回の報道をうけ、ファンから全国のゴディバの店舗スタッフにたくさんの応援の声が集まった、という話です。
「ゴディバがんばれ」「応援しています」
そんなお声をかけたチョコレートファンがいるのですね。私はチョコレートを愛する一人として、あたたかな気持ちになりました。
最後に「ファイナンスの問題だった」ことにも、触れておきます(詳しくは記事を)。
2019年の買収の際に組まれたローンは、事業で得た利益から返済していく仕組みだった。その返済スケジュールの見直しがされた、という話です。つまり「チョコが売れていない、利益が出ていない」という話ではなく、買収時の借入をめぐる、通常のファイナンス上の議論だったわけです。
チョコレートファンは、美味しいチョコレートを食べたいわけですから、特に経営やM&Aのことに関心があるわけではないと思います。私もその道の専門でもありません。
ただし、世界をリードする有名メーカーは影響力があります。こういった問題も必ずついてまわるということです。同じチョコレートを売っている会社や店だったとしても、小さな個人店と世界的な企業は、大きな違いがあります。
メディアもセンセーショナルな見出しを好みますし、憶測は憶測を呼びますし、なかなか事実は見えてこないものだと思います。今回、シュシャン社長ご本人とお話することで、私自身、非常に勉強になりました。情報とどう向き合っていくかを考えるきっかけにしていただけましても。ぜひ、前編後編あわせてお読みください。
text ジャーナリスト/チョコレートジャーナリスト 市川歩美

