こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」。お菓子やチョコレートに関わる方には有名でも、一般の方はご存知ない方が多いと思いますので、この記事でまとめます。
クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーとは
「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」=「パティスリーのワールドカップ」。2年に一度、フランス(リヨン)で開催される、有名な世界大会です。
La Coupe du Monde de la Pâtisserie 公式サイト
1989年に始まり、洋菓子の世界では最高峰の大会といわれています。
これまでに60か国、882人の菓子職人が出場。フランスの著名なチョコレートメーカー「ヴァローナ」社と、ガブリエル・バイアソン氏(MOFパティシエでありブーランジェ)によって始まりました。
特徴は「チーム戦」です。1カ国につき、3名1チームとなり、優勝を目指します。(別に一名が団長と呼ばれるリーダーとなり、チームをまとめます)
3名の代表選手は、各国・各エリアで厳しい予選を勝ち抜いた精鋭。10時間という制限時間内に、3名が会場内で、課題となる作品を完成させます。
広い会場!
ステージで選手たちが、作品を作る様子を、各国の応援団が見守り、巨大なスクリーンに各国代表メンバーが映し出されるたびに歓声があがります。音楽も照明もエキサイティング。会場のレポートが随時、フランス語と英語で行われ、エンターテイメント性が高いです。
クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2019年、日本は2位!
2019年は、世界21各国が参加しました。結果、日本は準優勝。マレーシアが優勝、3位はイタリア。
私が取材、執筆した記事は以下です。
日本がマレーシアに「洋菓子のW杯」で負けた理由 〜 アジアナンバーワンの座を奪い返せるか
(東洋経済オンライン)
執筆にあたり、日本を代表するパティシエのみなさまに多大なご協力をいただきました。2019年までの背景とともに、歴代代表選手の熱い思いが伝わるとうれしいです。
2019年クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー日本代表メンバー
クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー、今回の結果は、世界第2位。発表直後の様子が、上の写真です。
1位はマレーシア。マレーシアの選手は過去に何度も出場経験がありますが、日本勢は全員が大会初出場。それでいて2位とは、素晴らしい快挙です。
(写真左から)
アントルメ・ショコラとアメ細工のピエスモンテを作る
パティスリー メゾンドゥース 伊藤文明さん
アシエット・デセールとチョコレート細工のピエスモンテを作る
株式会社スタジオ・シュゼット 西山未来さん
アントルメ・グラッセと氷彫刻を作る
株式会社グルメ和光 小熊亮平さん
日本チーム団長は、パティスリーラ・ローズ・ジャポネ 五十嵐宏さん
クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー、会場の日本応援団の熱さ
日本チーム応援団の写真です(上)。毎年パワフルで、今年は数十名。声が枯れても応援し続け、歌い続ける日本の大応援団は、リヨンの製菓学校の生徒さんたちで構成されています。
メンバー3人のための3つの歌があり、日本の国旗を振りながら先輩を応援する姿……そばでみていると、じーん、としてしまうのは、私だけではないはず。
日本はいちだんと目立っていますが、各国の応援団もバラエティ豊か。お揃いのTシャツで楽器を演奏したり、声援を送り。観戦者と選手の気持ちは会場でひとつになります。
会場の外は、真冬のリヨン。凍りつきそうな寒さですが、会場内は真逆の凄い熱気。上着がいらないほど、です。
次回大会にむけて
2019年大会が終わり、2年後にむけた準備は始まっています。
2019年3月20日(水)、21日(木)に、第17回クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー日本国内予選決勝が行われ、翌22日(金)に、2021年の日本代表チーム3名が決定しました。
代表選手発表の場(フランス大使公邸)に私もお招きいただきましたが、感動のドラマがありました。(これについては後日)2021年に向けて、早くも動き出した日本、心から応援しています。
ここで、日本のお菓子好きなみなさん、チョコレート好きなみなさんに改めてお知らせしたいです。
日本のパティシエは、世界レベルの実力を持っています。クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーを知り、そして、ぜひ、みんなで日本代表チームを応援しましょう。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美