こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
目黒川沿いにある「green bean to bar chocolate(グリーンビーントゥバーチョコレート)」のチョコレートケーキが美味しかったので、みなさんにご紹介しますね。
グリーンビーントゥバーチョコレートの季節のケーキ
今回いただいたのは「エマーブル」というチョコレートケーキでした。
現地からおもわず投稿したのが、上のツイート。グリーンビーントゥバーチョコレートでは、シーズンごとにチョコレートケーキが登場しているのです。美味しいですよ。来月も新作が登場するようです。
タンザニア産カカオと野いちごのチョコレートケーキ
タンザニア産カカオと野いちごのチョコレートケーキ「エマーブル」の解説です。
タンザニア産カカオの自家製チョコレートをムースにして、野いちごのジュレとあわせています。タンザニア産カカオを選んだ理由は、ベリー感が野いちごとマッチするから。当初マダガスカル産で試作したところ軽やかでよかったけれども、やっぱりタンザニア産のがベターだった、ということです。
底には、カカオパウダーを使ったシュクレ(サクサクのクッキーのようなタルト生地、甘くない)が。
タンザニア産カカオと野いちごがマッチし、なぜかぶどうのような風味が立ち上る、みずみずしいケーキでした。私は、目黒川沿いの桜がきれいな季節で、ヴィジュアルが桜ともリンクするように感じました。
ビーントゥバーブランドによるチョコレートケーキの進化
ここでビーントゥーバーチョコレートブランドの、お菓子について考えてみたいと思います。
グリーンビーントゥバーチョコレートは、カカオ豆からチョコレートまでを一貫製造する「ビーントゥバーチョコレート」専門店です。
カカオ豆を生産地から調達・選別・焙煎・粉砕、と続くすべてのプロセスを小規模に行う。つまりそういうブランドが作るケーキですから、チョコレートの個性をしっかりわかって作っている、ということになります。
カカオの個性を知る人が作っているチョコレートケーキだということ。もちろん、その個性をしっかりケーキにしてもいかし切れるかどうかは、カカオの個性を知っていることとイコールではないかもしれません。でも、カカオを知る人は、カカオをいかしたいと思うことでしょう。
ビーントゥバーで美味しいものを作る
ビーントゥバーはカカオの個性をいかすもの。しかし、それがいくら新しいスタイルであろうとも「おいしい」という感動なしには、長続きしないですよね。
近年、ビーントゥバーブランドの「おいしい」「楽しい」ものを作ることへのベクトルを感じます。
実際、グリーンビーントゥバーの製造スタッフは(新卒のお一人以外)全員パティシエ経験があるそうです。「おいしいものを作る技術を習得した人」ということですね。年々私には、「前回よりおいしいものを作ろう」という試行錯誤が、伝わってきます。
ananのチョコレート特集の紙面で、以前コメントしましたが、日本のビーントゥバーは日本で親しまれるお菓子に進化したり、フランス菓子風に進化したり。世界で類を見ない進化をとげています。
ビーントゥバーが、ケーキやスイーツになると同時にチョコレート自体の味も徐々にレベルアップしているともいえるかもしれません。個性ある日本のビーントゥバー。とてもおもしろいと私は思っています。もしろいと感じています。
センスのよい空間
みなさんは、どんなチョコレートケーキが好きでしょうか。カカオとチョコレート好きな方なら
・カカオの個性を尊重している
・おいしい(気分があがる)バランスが考えられている
この2つが大事ではないですか?私の場合、さらにセンスのよい落ち着いた空間で味わえるなら最高です。
アメリカ発のクラフト・ムーブメントは、風通しがよいです。センスよく。グリーンビーントゥバーチョコレートは、目黒川沿いにあり、その雰囲気がケーキをパティスリーで味わうのとは異なるものにしています。
「カカオがここにいるね」と感じる、おいしいケーキやデザートが、東京のビーントゥバーやクラフトチョコレート店に並んでいます。
チョコレート愛好家歴が長い私ですが、未来にこんなチョコレート店の状況が待っているとは思いませんでした。全く新しいチョコレートやカカオ感じるチョコレートのお菓子のムーブメント。これからも、想像もできないようなチョコの未来があるのでしょうか、楽しみに思います。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美