グリーンビーントゥバーチョコレートのチョコレートケーキに思う(日本独自のビーントゥバーの展開)
こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
目黒川沿いにある「green bean to bar chocolate(グリーンビーントゥバーチョコレート)」のチョコレートケーキが美味しかったです。

「エマーブル」※2020年3月23日までの限定
いただいたのは「エマーブル」というチョコレートケーキです。
グリーンビーントゥバーのチョコレートケーキ「エマーブル」これ今日までだった!
けどすごく美味しいからギリギリすぎだけど間に合えばたべてみてーーーー pic.twitter.com/hRrVYfaxrV— チョコレートジャーナリスト 市川歩美 (Ayumi) (@ayumisroom) March 23, 2020
現地からおもわずツイート。
グリーンビーントゥバーチョコレートでは、シーズンごとにチョコレートケーキが登場します。来月の新作も、そして今後もどうぞ。
タンザニア産カカオと野いちごのチョコレートケーキ
このケーキの解説です。
タンザニア産カカオの自家製チョコレートをムースにして、野いちごのジュレとあわせています。
タンザニア産カカオを選んだ理由は、ベリー感が野いちごとマッチするからだそう。当初マダガスカル産で試作したところ軽やかで、これもよかったけれども、やはりタンザニア産のがベターだったとか。
底は、カカオパウダーを使ったシュクレ(サクサクのクッキーのようなタルト生地、甘くない)です。
タンザニア産カカオの持つ複雑な風味と野いちごがマッチし、不思議とぶどうのような風味が立ち上る、みずみずしいケーキでした。
目黒川沿いの桜がきれいな季節。桜ともイメージがリンクします。
ビーントゥバーブランドによるチョコレートケーキの進化
グリーンビーントゥバーチョコレートは、カカオ豆からチョコレートまでを一貫製造する「ビーントゥバーチョコレート」専門店です。
カカオ豆を生産地から調達・選別・焙煎・粉砕、と続くすべてのプロセスを小規模に行っています。つまり、こちらのチョコレートケーキは
カカオ豆の段階からチョコレートにまで、仕上げた人が(カカオ)の素性も個性も知ったうえで扱い、ケーキに仕立てています。
人に例えるなら、赤ちゃんみたいな「カカオ豆ちゃん」の段階からこの子をみてきた人が、その個性を生かし、おいしいチョコレートにまで育て上げたちというような。
カカオの個性を知る人が作ることで、おのずとカカオが生かされるのだと思います。
ビーントゥバーは、いくらカカオの個性をいかすのが命題といえども、さらにはいくらおしゃれであろうとも「おいしい」という感動なしには、ちょっと続かないですよね。
近年、ビーントゥバーブランドの「おいしい」ものを作ることへの力を感じます。
実際、グリーンビーントゥバーの製造スタッフは(新卒のお一人以外)全員パティシエ経験があるそうです。「おいしいものを作る技術を習得した人」ということですね。
それもあるのでしょう、年々「前回よりおいしいものを作ろう」と試行錯誤したことが、私に伝わってきます。
ananのチョコレート特集の紙面で、以前コメントしましたが、日本のビーントゥバーは類を見ない独自の進化をとげています。
それはビーントゥバーが、ケーキやスイーツになって進化していること。「味」が「徐々に進化しレベルアップ」しているのです。
世界のシーンと比較して、個性的な日本のビーントゥバー。私が、とてもユニークで、おもしろいと感じているところです。
グリーンビーントゥバーのケーキに、空間ごと癒される
私は、カカオとチョコレート好きなので
・カカオから手がけた人がその個性を尊重している、と感じられる
・おいしいバランスが考えられている
この2つの特徴を持ったケーキはとても好きで、センスのよい空間で味わえたらなお最高。
アメリカ発のクラフト・ムーブメントは、独特の風通しのよいスタイルがあり、センスがよいです。グリーンビーントゥバーチョコレートは、目黒川沿いにあり、この雰囲気がビーントゥバーらしく、ケーキをパティスリーで味わうのとは異なるものにしています。
▲2019年夏のパフェ。カカオが主役のパフェの進化も毎年楽しみ。
「カカオがここにいるね」と感じる、おいしいケーキやデザート。東京のビーントゥバー、クラフトチョコレートのシーンで、出会えます。
筋金入りに長くチョコレートの愛好家なんですが、こういう新しいススタイルの登場を、数年前まで私は、まったく予想できませんでした。今後も、今、自分が想像もできないような進化があるのでしょう。未来をおもうと、楽しみです。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美