グリーンビーントゥバーチョコレートのチョコレートケーキに思う(日本独自のビーントゥバーの展開)
目黒川沿いにある「green bean to bar chocolate(グリーンビーントゥバーチョコレート)」のチョコレートケーキが美味しかったです。シーズンごとに楽しみ。
▲「エマーブル」※2020年3月23日までの限定
昨日いただいた「エマーブル」というチョコレートケーキです。
グリーンビーントゥバーのチョコレートケーキ「エマーブル」これ今日までだった!
けどすごく美味しいからギリギリすぎだけど間に合えばたべてみてーーーー pic.twitter.com/hRrVYfaxrV— 市川歩美(チョコレートジャーナリスト) (@ayumisroom) March 23, 2020
▲現地からおもわずツイート
昨日まで限定ですが、ご安心ください。グリーンビーントゥバーチョコレートでは、シーズンごとにチョコレートケーキが登場します。来月の新作も、そして今後もどうぞ。
タンザニア産カカオと野いちごをあわせたチョコレートケーキ
このケーキは、タンザニア産カカオの自家製チョコレートをムースにして、野いちごのジュレとあわせています。
タンザニア産カカオを選んだ理由は、ベリー感が野いちごとマッチするから。当初マダガスカル産で試作したところ軽やかで、これもよかったけれども、やはりタンザニア産のがベターと判断されました。底には、カカオパウダーを使ったシュクレ(サクサクのクッキーのようなタルト生地、甘くない)。
タンザニア産カカオの持つ複雑な風味と野いちごがマッチし、不思議とぶどうのような風味が立ち上るみずみずしいケーキでした。
目黒川沿いの桜がきれいなので、桜とリンク。お花のかわいいデザインです。
ビーントゥバーブランドによるチョコレートケーキの進化
グリーンビーントゥバーチョコレートは、チョコレートファンはご存知のとおり、カカオ豆からチョコレートまでを一貫製造する「ビーントゥバーチョコレート」専門店です。
カカオ豆を生産地から調達・選別・焙煎・粉砕、と続くすべてのプロセスを小規模に行っています。つまり、こちらのチョコレートケーキは
カカオ豆の段階からチョコレートにまで、仕上げた人が(カカオ)の素性も個性も知ったうえで扱い、ケーキに仕立てているのがポイントです。
人に例えるなら、赤ちゃんみたいな、ちいさな「カカオ豆ちゃん」の段階からこの子をみてきて、その個性を生かし、おいしいチョコレートにまで育て上げたという感じ。
一口味わえば、カカオの個性を感じるのはそれが理由。主役はカカオ・チョコレートです。カカオの段階からチョコに興味のある方は、特に魅力を感じるはずです。
とはいえ、ここも問題で
いくら個性が表れ、おしゃれであろうとも「おいしい」という感動なしには、手がのびるのは一度だけ(これはきっと誰でも)。
その点、グリーンビーントゥバーの製造スタッフは(新卒のお一人以外)全員パティシエ経験があるそうです。「おいしいものを作る技術を習得した人」ということです。それもあるのでしょうか、年々「前回よりおいしいものを作ろう」と試行錯誤した感じが、私に伝わってきます。
ananのチョコレート特集の紙面で、以前コメントしましたが、日本のビーントゥバーは類を見ない独自の進化をとげています。それはビーントゥバーが、ケーキやスイーツになっていること。その「味」が「徐々に進化しレベルアップ」していることです。
世界のシーンと比較して、日本の個性だと私は考えています。これらが私の持論で、長くシーンを見てきて、味わい、考え、感じ続けていることです。
グリーンビーントゥバーのケーキに、空間ごと癒される
私は、チョコレート好き(もちろんカカオも)なので
・カカオから手がけた人が
・その個性を尊重している、と感じられる
・おいしいバランスが考えられている
チョコレートケーキに好きで、これをセンスのよい空間で味わえると最高。
アメリカ発のクラフト・ムーブメントは、独特の風通しのよいスタイルがありますね。このブランドでいうと、目黒川沿いにあるこの空間と雰囲気が、ケーキをパティスリーで味わうのとは異なるものにしています。
▲2019年夏のパフェ。カカオが主役のパフェの進化も毎年楽しみ。
「カカオがここにいるね」と感じる、おいしいケーキやデザートに出会える東京のビーントゥバー、クラフトチョコレートのシーン。長くチョコの愛好家ですが、こんな新しいススタイルの登場を、数年前まで予想すらできませんでした。今後も、今、自分が想像もできないような進化が楽しみです。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美