こんにちは。チョコレートを主なテーマに掲げる、ジャーナリストの市川歩美です。
森永製菓のコンセプトブランド「TAICHIRO MORINAGA(タイチロウ モリナガ)」から、4種の食感と味わいを楽しめる「クッキーセレクション with CACAO」が発売されました。
ガーナ産カカオを使用したチョコレートを活かした4種類のクッキーを詰め合わせたこのアソート。私も購入して味わってみました。そして、開発を手がけた森永製菓の小野隆さんに、お話を伺いました。
クッキーセレクションが生まれた背景
「TAICHIRO MORINAGA クッキーセレクション with CACAO」はオンライン販売がスタートし、2025年3月27日から順次届けられています。私も早速注文。
届いた瞬間、その美しいパッケージにまず驚きました。4種類が個包装され、カカオがデザインされたボックスに高級感があります。
「TAICHIRO MORINAGA(タイチロウ モリナガ)」は、森永製菓の技術を活かして、「お菓子をこえる、『をかし』な体験を届ける」ブランドです。クッキーにどんな工夫が詰まっているのか、興味が湧きました。

ここからは、私(市川歩美)が、このクッキーを開発した森永製菓の小野隆さんにお話を伺ったので、みなさんにもシェアしますね。

小野さん、こんにちは!チョコレートを使ったクッキー4種、ありそうでない、ユニークな食べ比べ要素がありますね。どんなアイディアからこのアソートが生まれたのですか?



市川さん、こんにちは!
実は、この「TAICHIRO MORINAGA クッキーセレクション with CACAO」の構想は、約1年前からあったんです。私を含む森永製菓の研究員の間で開発を進める中で、最初に「農家の方々の顔が見えるチョコレートを使って、クッキーを作りたい」というアイデアが生まれたんですよ。



農家の方々の顔が見えるチョコとは素晴らしい!どんなチョコレートを使っているのですか?



ガーナのアシャンティ州産のカカオを使ったチョコレートです。
私もガーナの現地へ行ったので、農家のみなさんの顔が見えるんですよ。森永製菓は、2008年から「1チョコ for 1スマイル」というチョコレートのサステナビリティ向上を目指す活動を続けています。支援パートナーのNGO「ACE」を通じて支援した地域のチョコレートです。
このチョコレートをたっぷり使うことを意識しました。通常、クッキーにはココアパウダーを練り込むことが多く、チョコレートそのものを練り込むことは少ないのですが、4種すべてにチョコレートを使っています。
また、森永製菓の技術を活かしてチョコチップにしてもクッキーに練り込んでもチョコレートが固くならないように作っています。独自の食感と味わいが生まれました。



そうだったんですね!それを知ってもう一度味わいたくなりました。油っぽさが感じられず、すっきりした後味なので、これからの季節にあう気もしました。



はい。春からの発売ですから、あまりバターたっぷりで指につく、といったようなタイプではないものにしました。それによって日持ちがするようになりました。





パッケージのカカオの実をデザインでよいですね。箱に高級感があってワクワクしました。



TAICHIRO MORINAGA(タイチロウ モリナガ)は、贈り物にして喜んでいただけるものを、という想いで作っているんです。たしかにこのボックス、いいですよねー。開発スタッフも「予想以上に良い仕上がりになった」と驚いていました!
4種類のクッキーのこだわり
箱を開けると、見た目も味も異なる4種類のクッキーが、並んでいます。クッキーの上に目をやると、すぐにそれぞれの特徴がわかりやすく書かれています。それぞれについて、さらにくわしく、小野さんに解説していただきました。


アーモンドチョコレートクッキー(ZaKu)


ザクっとした食感が特徴。素焚糖(すだきとう)の優しい甘さがチョコレートの風味を引き立て、ナッツのコクが広がります。



表面をきれいに仕上げるために、クッキーを焼く前に水を霧吹きする工程があります。その上で粒子が粗い「素焚糖」を活かすことで、アーモンドともに、ザクっとした独特の風合いが生まれています。表面を綺麗に仕上げているので、アーモンドのスライスが美しく見えます。





素焚糖とは、どんな砂糖ですか?



「素焚糖」は国産で、奄美諸島産さとうきび原料だけで作られています。さとうきびの風味やミネラルが入っています。
メープルチョコレートクッキー(GaRi)


ガリっとした食感が楽しい一品。チョコレートとメープルの風味が重なり合い、深みのある味に仕上がっています。



袋をあけた途端に、ふわりとメープルの良い香りがしてしあわせになりました。



メープルの香りはいいですよね。メープルシュガーの細かい粒と、大きめな粒を両方入れています。大粒の方が、ときどきガリっと感じられるような配合にしました。かなり試行錯誤を重ねてあります。
森永製菓は長くメープルシロップとおつきあいしてきた会社です。ホットケーキとも関係ありますよね?





そういえばそうですね、このクッキーで私、ホットケーキを思い出していたかもしれません。昔、森永製菓さんのホットケーキにシロップがついていておいしかった記憶があります。さまざまなものづくりの歴史がありますね。
チョコレートチップサブレ(SaKu)


サクッとした食感が魅力。塩とアーモンドパウダーが隠し味になり、甘さ控えめの大人っぽい味わいです。



このクッキー生地は柔らかくて、成形をなかなかしづらかったのですが、一日冷やしてから形を作ることで理想の食感を実現しました。生地にチョコレートを15%、チョコチップも15%配合しましたので、チョコ好きな人のためのクッキーです。





はい、私が好きなタイプ笑 チョコ味がしっかり、少し塩も感じます。メープルチョコクッキーに似ているようで、形と生地が違いますね?



そうなんです。こちらは生地にチョコレートを入れています。四角形なのはチョコレートをイメージしているんですよ。
和三盆スノーボール(Horo)


ほろっとした食感が特徴のクッキー。優しいチョコレート風味の生地に徳島県産の和三盆をまぶしました。



一般的な「スノーボール」は粉砂糖を使いますが、徳島県産の和三盆を使って、より上品な甘みと風味を出しました。真っ白ではなくて、少し色味があるのは、和三盆の色と、チョコレートを入れたクッキーが透けて見えるからです。





和三盆の「スノーボール」でチョコレートのクッキーというのはめずらしい気がします。私がこれまで味わってきた、ホロホロっと崩れるやわらかな「ブールドネージュ」より食感があります。



そうですね。よくあるほろほろのものよりも、食感を持たせました。実はこの和三盆、一度まぶしただけでは表面につきにくいので、丁寧に、二度がけしているんです。
チョコレートをふんだんに使用したこだわり





練り込まれたりチョコチップになったり。実はクッキーでガーナのアシャンティ州産カカオのチョコレートが楽しめるわけですね。



ココアではなくチョコレートそのものを入れるので、気をつけなくてはいけないこともあります。クッキーにチョコレートを加えると、ブルーム(白くなる現象)がおきやすくなるんですよ。森永製菓の技術でブルームしにくいように作ってあります。



チョコクッキーもブルームが起きるのですね。
思い出してみると、森永製菓のクッキーやビスケットは長年、日本で愛さているロングセラーで、「マリー」「チョイス」「ムーンライト」をよく食べました。



そのまま食べるだけではなくて、お菓子作りにも使っていただけています。
今回作った「クッキーセレクション with CACAO」は、国産バターとさまざまな砂糖、当社の支援地域のチョコレートを使った新しいクッキーの形です。
開発のポイントは「食感」


森永製菓の通常の商品とは異なる「TAICHIRO MORINAGA(タイチロウ モリナガ)」。開発の原点について、もう少し小野さんに伺ってみました。



4種類それぞれにどんな特徴を持たせるかを考えたとき、原材料だけにこだわるだけではまだありふれているかもしれない、と考えました。
そこで、最近の森永製菓の傾向として、食感を意識した商品開発を進めていることに着目しました。
たとえば、当社の「チョコモナカジャンボ」「おっとっと」「ポテロング」「ハイチュウ」「inゼリー」なども、独特の食感を大切にしています。
クッキーにも着目して「クッキーのあらゆる食感を活かしたものを作っては?」という発想から、この新しいクッキーセレクションが生まれました。
近年、森永製菓は「チョコレートやお菓子を音楽と一緒に味わうとさらに楽しくなる」ことを伝えるイベントを積極的に開催しています。食を五感で感じることは、大人にとっても子どもにとっても大切で、心の健康ににもつながるかもしれません。
手触りのよい高級感のあるデザインのボックスも然り。味わって楽しむだけでなく、五感で楽しめる要素があることを私は感じました。
インフォメーション
クッキーの情報は以下の記事を参照してください。


「クッキーセレクション with CACAO」は数量限定販売で、オンライン購入できます。
日本のチョコレート文化や洋菓子文化を切り開いた森永製菓の創業者・森永太一郎さんの名前を冠したブランドです。「TAICHIRO MORINAGA(タイチロウ モリナガ)」の商品からは、研究者のみなさんの技術や創意が伝わってくる。だから私は好きなのです。
小野さん、お話をありがとうございました。これからも素敵な商品を届けてくださいね!
text & photo ジャーナリスト/チョコレートジャーナリスト 市川歩美