こんにちは。チョコレートを主なテーマに掲げるジャーナリスト、市川歩美です。2025年11月27日に日本ハスクした、リンツの最上級ライン「シグネチャープラリネ」が、日本で話題になっています。
この記事ではその魅力について、チョコレートを専門とするジャーナリストの私、市川歩美が少し踏み込んで解説することにします。
シグネチャープラリネとは

スイスで1845年に創業し、今年で180周年を迎えるリンツ。日本では15年の歴史を重ね、スイスの上質なチョコレートというイメージが広く浸透しています。そのリンツが今回、初めてフランスの職人技を取り入れ、最上級ラインとして発表したのが「シグネチャープラリネ」です。

長い歴史を持つスイスの名門が、香りと食感にこだわるフランスのショコラ文化と出会ったら、どんなチョコレートが生まれたのか。その答えが、手仕事による軽やかで洗練されたこのプラリネたちです。
シグネチャープラリネの特徴 職人技・手仕事

キーワード:アルティザン
「シグネチャープラリネ」は、リンツがこれまでにないアルティザン(職人の手仕事)をいかした、最上級ラインです。フランスで長年経験を積んだリンツのメートル・ショコラティエ、アルノー・ラゴ氏が生み出したレシピで、手仕事をいかして丁寧に作られています。また、世界中から素材を厳選して用い、香りや食感のバランスにまでこだわったプレミアムなチョコレート。
日本では2025年11月27日から、全国のリンツ ショコラ ブティックで期間限定発売されます。日本で販売されるボックスは8個入り、16個入り、28個入りの3サイズで展開され、ギフトにも自分へのご褒美にもふさわしい特別感。発売期間は2026年2月15日まで(なくなり次第終了)です。
フランスのメートル・ショコラティエによる手仕事

キーワード:リンツのフランスのメートル・ショコラティエ
この「シグネチャープラリネ」を手がけたアルノー・ラゴ氏は、フランスで14年以上の経験を持つリンツのメートル・ショコラティエです。スイスのリンツの伝統をベースに、フランスのショコラティエによる手仕事を尊重し、加えて現代の感性を取り入れ、誰もが楽しめる味わいに仕上げています。このすべてを両立させているのです。ひと粒ごとに香りや食感、甘みのバランスを計算し、繊細なプラリネを完成させました。
シグネチャープラリネの特徴「7種のプラリネ」

キーワード:新しいリンツの7種のプラリネ
シグネチャープラリネには、風味と食感に個性のある7種類のフレーバーが揃います。ひと粒ごとに異なる精密さ、繊細な食感があり、味わうたびに新しい発見があります。
ミルクティープラリネ
アーモンドプラリネに紅茶の香りを重ね、ミルクチョコレートで包んだ一粒。多くの紅茶のボンボンショコラ、というとガナッシュですが、ガあえてプラリネで挑んでいます。紅茶のセレクト、風味をうつす方法を決めるためにかなりの時間をかけたと、シェフが私に教えてくれました。フローラルでエレガントな香りが口の中に広がります。

ミルクアーモンドヌガティーヌプラリネ
細かく砕いたアーモンドのヌガティーヌ片を入れています。なめらかなアーモンドプラリネをミルクチョコレートで包み、現れてくるサクサク、カリカリ、といった軽やかな食感が楽しい一粒です。

ミルクココナッツプラリネ
ココナッツがお好きな方はぜひこちらを。キャラメリゼしたココナッツ片入りのアーモンドプラリネをミルクチョコレートでコーティング。あのココナッツならではの風味、香ばしさとプラリネならではの繊細さが調和します。フランスの「ロシェ」のイメージもしつつ、シェフが考案されたプラリネです。

ダークヘーゼルナッツプラリネ
ヘーゼルナッツをしっかりと楽しめるダークチョコレートのプラリネ。ローストヘーゼルナッツをあえて荒く刻んでプラリネに混ぜたクラシカルなタイプ。これをダークチョコレートで包んでいます。ザクザク、カリカリ感とシーソルトのアクセントが、プラリネを引き締め、魅力あるものにしています。

ダーク70%カカオプラリネ
リンツで人気のカカオ分70%のタブレット。トレンドを背景に、深みのある70%カカオのダークチョコレートとサクサクしたカカオニブ入りプラリネを合わせています。サクサク、っとしたカカオニブの食感が、いつまでも続くことに注目してください。カカオの魅力を美味しく楽しめるチョコレート好きのための一粒です。

ダークラズベリープラリネ
こちらは赤いフルーツの風味。甘酸っぱいラズベリーとサクサク食感のクレープ生地(クレープダンテル)をプラリネに合わせた一粒。サクサクっとしたクレープ生地の食感があるのは、このプラリネだけです。ダークチョコレートのほろ苦さと甘酸っぱさの対比が印象的です。

ダークユズプラリネ
パリでも洗練された果実として定着しつつある、柚子。このプラリネは、日本産のゆずとアクセントにライムの皮を加えたプラリネをダークチョコレートで包み、洗練されたバランスで表現したもの。フレッシュできゅんと甘酸っぱい、軽やかな後味が楽しめます。

シグネチャープラリネの特徴「洗練された軽やかさ」

キーワード:ふわりと軽やかなプラリネ
とにかく、軽やかなのです。「もう一粒で十分」とはならない、つまり重くないプラリネ。それは油分や糖分をおさえながら、ふわりと溶けて素材の個性を立たせる工夫が施されているため。決して「ずしん」と重くなく、素材の香りと食感がふわっと広がる。このプラリネの軽やかさは現代的です。
アルノーシェフは私に「油分と糖分を抑え、素材の風味をできる限り引き出すことを考えました」と話し「ふわっとエアリーな感じします」との感想に少し微笑んで「空気は入れていませんよ(笑)」と話してくれました。
シグネチャープラリネの特徴 パッケージの美しさ

キーワード:高級感あふれるパッケージ
箱のデザインにも特別感があります。金色を基調に、カカオをモチーフにしたゴールド、バーガンディ、ブラックのカラーリング。まるで宝石箱のような気品があり、大切な人への贈り物にふさわしい、格調高さがあります。
プラリネの箱詰めも手作業

箱には仕切りがなく、手作り感のあるプラリネが綺麗に並んでいます。箱詰めはすべて手作業でフランスで行われています。ボックスをあけた途端、これは手作業で箱詰めしているのでは、と思い、シェフにお尋ねしたところ「そうですよ」とふつうに、お答えくださったのでした。チョコレート作りから、箱詰めまで、心をこめた手作りです。
シグネチャープラリネの特徴 スイスとフランスの出会い

キーワード:スイスのリンツがフランスの職人技をいかす
1845年創業のスイスのリンツが、フランスのショコラ職人と出会い生まれた「シグネチャープラリネ」。長年リンツのチョコレートを味わい、取材もさせていただいていますが、こういうチョコレートの登場は初です。革新的なことだと思います。
リンツの長い歴史の中、培われた技術とともに、一粒に込められた情熱、香り、食感、そして手仕事がかいまみえます。この冬、特別なチョコレートを味わいたい方は、ぜひ手に取ってみてください。チョコレートの歴史と職人の技が宿っています。

text ジャーナリスト/チョコレートジャーナリスト 市川歩美
