【The Chocolate Journal チョコレートニュース】
こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。
日本でも人気を集めるイタリアの老舗チョコレートブランド「ヴェンキ」が、代表的なチョコレートを体験できるスペシャルボックス「Mr. Venchi Experience Box」を発表しました。ムービーによる解説つきです。
特別に入手して体験できましたので、みなさんに、チョコレート情報をシェアします。
「ミスターヴェンキ エクスペリエンスボックス」
それにしても、よーく、ヴェンキの魅力が理解できました。
ヴェンキを代表するチョコレートがセットされたボックスで、かつ、ヴェンキのレシピを手がけている方、ご本人が解説してくれるムービーにアクセスできるんです。味わいながら、知識も得られ、テイスティングホイール付で、アロマをキャッチするヒントもあります。
マンテッリさんは、“Mr.Venchi(ミスターヴェンキ)”と呼ばれる人で、ヴェンキの伝統的なレシピを管理し、チョコビア のような革新的なレシピを開発しています。
この「Mr. Venchi Experience Box」のアイディアも、ヴェンキのレシピを手がけるマーケティングディレクター GB Mantelli(GBマンテッリ)さんによります。
QRコードからMr.ヴェンキのムービーへ
Mr.ヴェンキによる、ビデオテイスティングへのアクセスは、とても簡単。パンフレットに記載されたQRコードに、スマホをかざすだけです。
トークを聞きながら、パンフレットを眺め、順番に箱の中のチョコレートをいただけるのは、今の時代ならではですね。チョコレートの知識がわかり、イタリアの文化も感じました。
どんなチョコレートに出会えたのか、ご紹介しますね。
ヴェンキの代表チョコ1 ハイカカオダークチョコのキャレ
実はヴェンキは、ダークチョコレートとジャンドゥーヤのレシピが多いブランドです。
イタリア(トリノ)のブランドなので、もちろん地元のヘーゼルナッツを使ったジャンドゥーヤが有名ですが、カカオの産地別、カカオ分別のダークチョコレートのキャレ(ヴェンキでは「グランブレンド 」と呼ぶ)も、代表作。
アロマを重視するときは南米のカカオ、ヘーゼルナッツにあわせるときはアフリカ中西部産を。カカオへのこだわりがあります。
代表的なキャレをご紹介します。
まずは、カカオが主役のダークチョコレートのキャレです。
*グランブレンド エクストラダーク -70% *日本未発売(写真左)
Mr.ヴェンキ曰く、カリブ海地域のカカオを使用。チョコレートの表面からは、樹木の香り。味わうと自然な甘みがあって、クリーミーでなめらかなテクスチャー。くるみなどのナッティな風味があります。
<ここで、Mrヴェンキがおすすめするテイスティング方法>
チョコレートの表面に指をあて、少し熱を加えて香りを立たせる。噛むことは大事。唾液の分泌を促進して、嗅覚を通じて、すべてのアロマをキャッチできるから。
*グランブレンド モンテズマ ニブス 75%(写真左から2番目)
エキストラダークとは、全く別のアプローチのハイカカオです。Mr.ヴェンキによると、彼の30年以上前の記憶から作ったレシピだそう。表面からはタバコの葉のような香り。カカオニブ入りで、サクサク感があります。酸味があります。
*グランブレンド サウスアメリカ100%
*グランブレンド サウスアメリカ 80%
ヴェンキの「グランブレンドサウスアメリカ」シリーズは、南アメリカ原産のクリオロ種のカカオ豆を使っています。
カカオ分が高く、心地よい苦味と酸味があります。表面からはシガーやスパイスの香り。味わうと、熟した果実と蜂蜜の印象の心地よさ。
Mr.ヴェンキは、80%と100%を同時に味わうことを勧めていて、なるほど、納得です。まずは少し砂糖が入った80%を味わい、唾液を分泌させ、次に100%へ。確かに交互に味わうと、このカカオ・チョコレートへの理解が進みます。
ちなみに、100%は、甘みゼロ。酸味・苦味がかなり強いので、慣れた方、あるいはチャレンジしたい方へ!
ヴェンキの代表チョコ2 ハイカカオミルクチョコのキャレ
ヴェンキのミルクチョコレートは、砂糖が少なめ。つまりカカオ分が高め。ヴェンキの本拠地・トリノのおいしいミルクを使っているのも特徴です。
*ベネズエラ ミルク 47%(写真左)
*グランブレンド・ミルク -70%(写真中)
「ベネズエラ ミルク 47%」は、ベネズエラ産カカオを使用、まろやかでとても美味しいです。以前から私も好き。トフィーのような風味があり、マダカスカル産ブルボンバニラの余韻があります。
「グランブレンド ミルク -70%」も、通常のミルクチョコレートよりも、砂糖が少なめ。バランスのよい、多くの方に愛される味。定番ミルクチョコとして、まずはこれです。
最後のキャレは、ミントフレーバーのダークチョコ。
*グランブレンド ダークチョコレート ウィズミント(写真右)
Mr.ヴェンキによると「イタリアで夏によく飲まれる、伝統的な、ミント風味のシシリアのアーモンドミルクを、特別なミントの結晶を使って再構築したもの」だそうです。60%カカオのチョコレートに、カリッとしたミント風味のアーモンドが入っています。シシリアのミント風味のアーモンドミルク、思いを馳せますね。
ヴェンキの代表チョコ3 ジャンドゥイオット
ヴェンキの代表作で、イタリアのトリノのシンボルといえばこちら。地元のヘーゼルナッツを使った「ジャンドゥイオット」です。
*ジャンドゥーヤ N.3
こちらはジャンドゥイオットシリーズの、最も新しいレシピです。ベネズエラ産カカオ・ピエモンテ産のヘーゼルナッツ(35%使用)・無精製のきび砂糖。この3材料だけで作られています。乳製品、レシチン、バニラ不使用。
Mr.ヴェンキいわく「私たちはヘーゼルナッツ至上主義です」。地元の契約農家が作ったヘーゼルナッツは、もはや「うちの庭で収穫した」ともいえるものだそう。トリノには、何度か取材で訪れましたが、現地で味わうヘーゼルナッツの美味しさは格別。……早く、またトリノへ行きたいなぁ(……とつい心の声)。
ヴェンキの代表チョコ4 スプレッド
スプレッドも、人気があります。
チョコレートとピエモンテ産ヘーゼルナッツに、地中海のオリーブオイルを加えることで、風味がよく、のびもよいです。私は、このままスプーンで味わうのが好き。ヘーゼルナッツの美味しさがわかるからです。もちろんトーストなどにも。
後で、このスプレッド入りの「チョコビア クレームスプレマ」をご紹介します。
ヴェンキの代表チョコ5 チョコビア
キャビアのような細かいチョコだから、チョコビア(チョコレート&キャビア)。ヴェンキを代表するオリジナルです。
このチョコレートは、2004年に生まれたそう。きっかけは、Mr.ヴェンキが、招待された夕食会で出された「ズッキーニキャビア」で、「なんて美味しい食べ物だろう!」と感動したこと。
「私たちはイタリア人だ。チョコレートをこれで再現できないだろうか」と考えて生まれたのがチョコビアで、ベネズエラ、ペルー、コロンビア産のカカオを使い、ダークチョコレートの小さな粒を、キャビアのような美しい缶に入れています。
(このチョコビアは、別の記事でもご紹介します。ユニークだからです。チーズにあわせても、お料理にも。スパークリングワインに合わせてもすごく素敵)
ヴェンキの代表チョコ6 キュボットチョコビア
「キュボット チョコビア」も、代表作です。チョコビアがまぶしてあって、フィリングは色々、ボックスに入っていた3種類はこちら。
*キュボット チョコビア クレームスプレマ(写真左)
上で紹介した、スプレッドがセンターに入ったチョコビアです。中央のクリーミーな感覚とカリカリの対比が楽しい。
*キュボット チョコビア ピスタチオ(写真中)
トフィーとヘーゼルナッツの粒をまぶしたダークチョコレートで、センターはアーモンド、ヘーゼルナッツをミックスしたピスタチオのジャンドゥーヤです。Mr.ヴェンキいわく「有名な地中海式ダイエットのピラミッドによると、オメガ9系脂肪酸は、オリーブとひまわりの種だけでなく、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、アーモンドからもとれるとされている」とか。
*キュボット チョコビア ジャンドゥーヤ(写真右)
定番のジャンドゥーヤクリーム、そしてホールヘーゼルナッツ入りです。外側の細かなダークチョコレートの粒と楽しむ、新しいジャンドゥーヤの形です。
ヴェンキの代表チョコ7 イタリアらしいチョコレートバー
ヴェンキの板チョコはイタリアらしいのです。チョコレートバーのモダンなデザインにも注目してください。
*ティラミスバー(写真左)
イタリアンデザート「ティラミス」のタブレットバージョン。まさにティラミスを板チョコで味わっているかのよう。3層構造で、ミルクチョコレートの層、コーヒー豆ベースの層、中心はマスカルポーネ風味のクリームの層からできています。
*バッチョ ディ ダーマバー(写真右)
「バッチョ ディ ダーマ( BACIO DI DAMA) 」は貴婦人のキス、という意味でイタリアのビスケットです。ホワイトチョコレートとピエモンテ産ヘーゼルナッツペーストの層に、グルテンフリーのヘーゼルナッツビスケット入りミルクジャンドゥーヤを重ねて。わずかなバニラの香り、モルトと蜂蜜の香りが心地よい味わい。
*ホワイトチョコレートバー ソルティド ナッツ(写真左)
自然な甘みのホワイトチョコと塩味のナッツの組み合わせ。ヘーゼルナッツ、アーモンド、塩味のピスタチオを入れて、ナチュラルな美しい色を生かし、かりっとしたナッツの食感と風味がよいです。私の好きなスパークリングワインに、ベストマッチ。
*ココナッツバー(写真右)
ココナッツ好きならぜひとも。砂糖を加えていないクリーミーなココナッツフィリングをダークチョコレートで包んでいます。Mr.ヴェンキ曰く、ラムと一緒に口にふくむと「バチーダ(ブラジルのココナッツリキュール)」のような感覚になるそうです。トライしてみたいですね!
いかがでしたか?
ヴェンキの代表作、そして楽しみ方。参考になればうれしいです。
Mr.ヴェンキはムービー内で、「私たちの情熱、メイドインイタリーのレシピのバランス、イタリアらしさが少しでもお伝えできたらうれしいです」と話していました。
この記事が、お店であまり目を向けなかったチョコレートに興味を持ったり、お気に入りを、よりおいしく楽しむきっかけになればうれしいです。
text チョコレートジャーナリスト 市川歩美