こんにちは。チョコレートを主なテーマに掲げる、ジャーナリストの市川歩美です。
2026年の今年、ゴディバが創業100周年を迎えました。100年に一度のアニバーサリーを祝うスペシャルなアイスケーキ「トレゾール ~3つのチョコレートを楽しむアイスケーキ~」が4月13日に登場します。フランスで有名なアイスクリーム職人、エマニュエル・リオンシェフによる、チョコレートファン、アイスクリームファン注目の逸品です。
トレゾール ~3つのチョコレートを楽しむアイスケーキ~

このケーキの名前は「トレゾール ~3つのチョコレートを楽しむアイスケーキ~」。トレゾール(Trésor)はフランス語で「宝物」「大切なもの」を意味します。
カカオポッド(カカオの実)をモチーフにしたチョコレートシェルの中に、ミルク・ダーク・ホワイト、3種類のチョコレートを使ったアイスクリームとソルベが重なっています。アクセントは柚子やバニラの香り。
フランスの著名なパティシエでアイスクリーム職人で、フランスの国家最優秀職人章(MOF)を受章したグラシエ、まさに冷たいスイーツのスペシャリストである、エマニュエル・リオンさんが手がけた品です。
カカオの実の形のチョコレートアイスケーキ
カカオポッド(カカオの実)の形のアイスケーキ。内容は、こんな感じです。

カカオの果肉そっくりの白い上層は、バニラビーンズが香るなめらかなホワイトチョコレートアイスクリーム。中は、柚子ピールの爽やかなアクセントを効かせたミルクチョコレートアイスクリーム。中心には、メキシカンカカオの力強い風味を活かしたダークチョコレートソルベが入っています。さらにコーティングクランチ(ビスケットのチョコレートコーティングしたもの)を加え、サクサクと軽やかな食感の楽しさあります。
カカオファンなら絶対ときめく!

それにしても、自宅に届いてときめきました……。私はカカオ産地を取材するたび、本物のカカオポッド(カカオの実)に出会っているからです。白い果肉部分がツヤツヤしてよくできているな、などと、産地を思い出していました。
私のようなカカオ好きなみなさん、ときめきませんか??カカオポッド型アイスケーキってなかなかないですよね。しかもフランスのM.O.Fグラシエが手がけているのです。チョコレートやアイスクリームファンも注目するはずです。
M.O.Fグラシエ エマニュエル・リオンシェフとは
エマニュエル・リオンシェフについて、です。

エマニュエル・リオンシェフ
フランス国家最優秀職人章の氷菓部門(M.O.F. Glacier)を受章、1999年にはWorld Pastry Championにも輝いた有名シェフです。フランス国家最優秀職人章(M.O.F.)は、フランスの職人にとって最高峰といえる栄誉で、卓越した技術と創造性が認められた職人だけに与えられます。リオンさんは、パリのマレ地区にある人気店「ユヌ・グラス・ア・パリ」の共同創立者としても知られています。
エマニュエル・リオンシェフ インタビュー
リオンシェフによるアイスケーキが、日本で初めて味わえるとあって私も注目。シェフにインタビューすることができたので、貴重なお話を、チョコレートジャーナルでシェアします。

市川歩美(以下A):とても美しいアイスケーキですね。割ったカカオの実の形がリアルです。
エマニュエル・リオンシェフ(以下R):この形を作るのは、なかなか手ごわい作業でした。カカオポッド(カカオの実)型のモールドはオリジナルですが、制作にあたっては多くの課題がありました。アイスケーキを一つだけ作るのでなく、クリエーションとして多くの方に届ける形に仕上げる必要があります。そこがいつも難しい点です。
特に外側のチョコレートのシェルは、何度も調整を重ねました。少し厚みのあったチョコレートを少し薄くしてみるなど、細かな修正を繰り返して完成しました。
A:カカオの実のデザインには、どんな思いや意味を込めましたか?
R:カカオの実なくして、ゴディバは存在しませんし、チョコレートそのものも生まれません。ゴディバというブランドが100周年を迎えられたことへのリスペクトと、原材料であるカカオへのオマージュも、この形で表しました。チョコレートには、ミルク、ダーク、ホワイトと主に3種類があり、そのすべてを使わない手はないと思いました。ミルクはやさしさ、ホワイトはまろやかさ、そしてダークはカカオの力強さ。そういった個性を活かしつつ、ケーキ全体の最高のバランスを作りたいと考えたからです。

A:家に届いてワクワクしました。このケーキの味わい方を教えてください。
R:カカオポッド型のビターチョコを器のようにして、スプーンですくっていただいてもよいですし、カットして味わっても魅力があります。冷凍庫から出してすぐでなく、冷蔵庫に20分ほど入れてから取り出して召し上がると良いと思います。冷凍庫から出したばかりだと冷たすぎ、逆にすぐ常温に置くと、表面だけが溶けて中心がまだ冷たい状態でベストとはいえません。
A:温度は大事ですよね。感じる風味が変わります。
R:そうですね。温度はとても大事です。お菓子も同じです。実際にお菓子の世界大会では、何度で提供するかということがとても重要なポイントになります。
A:このアイスケーキを何かと組み合わせて味わうアイディアはありますか?
R:ホワイトチョコレートのパーツには、マダガスカル産のバニラを使っています。そのままでももちろんおいしいのですが、例えばコーヒーに少しくぐらせて味わうと、相性のよさを感じていただけると思いますよ。
A:間違いなくおいしそうです。ぜひ試しますね。ところで今回、柚子を使われたのはなぜでしょうか?
R:柚子は、私がイメージする日本の果実であり風味だからです。独特のフレッシュな香りをこのケーキにと取り入れ、強調したいと思いました。柚子の香りの出し方も、何度か調整を重ねています。

A:シェフは、カカオ産地を訪れたことはありますか?
R:カメルーン、そしてブラジルにも訪れました。カメルーンは、フランスの業界団体の支援の一環として、生産者をサポートする目的での訪問です。カカオ生産者なしに、私たちの仕事は成り立ちません。そしてカカオがなければゴディバもチョコレートも生まれていません。現地を訪れると、担い手が減っているという課題があるのがわかりますね。
A:私も産地を取材すると同じ課題を感じます。カカオ生産者のことを考えてくださっているシェフが、このケーキを手がけていることを、うれしく思います。
R:生産者の収入が低ければ、担い手はいなくなってしまいます。これはカカオもバニラも同じです。一時期、カカオの価格が高騰しましたが、バニラも同様に価格が上がった時期がありました。現在も高価ではありますが、フランスではある程度落ち着いてきています。バニラは、花が咲いてから商品になるまでに約1年半かかるのです。
A:カカオもそうですが、収穫までに長い年月がかかりますね。カカオといえば、このケーキには私も訪れたメキシコ産カカオのチョコレートが使われています。それをソルベにされた理由と、特徴を教えてください。
R:このメキシコ産カカオのチョコレートは、私がよく使っているものです。風味に丸みがあり、酸味が強すぎず、苦味も控えめで、アイスクリームに適しています。今回はこのチョコレートをソルベにしました。カカオの持つ力強さを表現できるからです。このチョコレートはソルベにするからこそ個性が際立ちます。それによってこのケーキは、外側はやさしい味わいですが、中にはしっかりとしたパンチがあります。
A:そういうアイスケーキなのですね。そういえば、そういうタイプの「人」も、いらっしゃいますよね?
R:はい、その反対のタイプの方もいらっしゃいますね(笑)。こちらは、外側はやさしくて、中身がしっかりしている。第一印象はやさしく、グルマンなイメージで、それでいて芯がある……そんなイメージです(笑)

A:チョコレートは、アイスクリームになってもおいしいものです。チョコレートをアイスケーキにする難しさは、どのような点にありますか。
R:チョコレートは、とても複雑な素材です。カカオバターは脂質ですから、そもそもアイスクリームにするには難しさがあります。ですが、その困難があるからこそ、面白さもあるのです。
例えば、冷蔵庫の中で石のように固くなっているチョコレートがありますよね?その「石のような状態」を、口どけよく、なめらかに美味しくする必要があります。油分や砂糖の量も、綿密に計算しなくてはなりません。凍結温度を考えるうえでは、砂糖の量も重要な要素です。例えば同じマイナス12度でも、バニラ、レモン、チョコレートをすべて同じテクスチャーに仕上げるのは非常に難しい。きわめて繊細なバランスの上で成り立ちます。

A:アイスクリームに適したチョコレート、というのはあるでしょうか。
R:チョコレートは、常温だとおいしいけれどアイスにするとあまり、というものもあれば、逆にアイスにするとおいしくなるものがあります。このケーキにはアイスケーキにふさわしい味わいのチョコレートを厳選しています。
「チョコレートをいくつ試したか」ですか……? 数えきれません(笑)。パリに私の店もあり、常に新しいチョコレートを試します。カカオ分だけでなく、カカオバターやカカオパウダーの配合比率も大きく影響します。産地によっても違った表情になります。チョコレートによって繊細な違いがあるのです。
A:「トレゾール(宝物)」という名前に、どのような思いやメッセージを込めましたか。
R:私はカカオを見るたびに感動します。カカオポッドは、まさに天からの恵みであり宝物です。そのため宝物、という意味をもつ「トレゾール」という名前にしました。

A:ゴディバ100周年の、このプロジェクトに参加されたきっかけは?
R:実は、このプロジェクトに参加するきっかけは、ピエール・マルコリーニです。以前、たまたま韓国でお互いに仕事をしていました。私はデモンストレーションの仕事で訪れていて、せっかくだからと韓国料理を囲んで食事をしました。そのときに、このプロジェクトの話が出たんですよ。「一緒にやらないか」と声をかけてもらい、私はその場で即答しました。2秒で、です(笑)。
100年の歩みを重ね、そのイメージを守り続けてきたブランド、ゴディバとコラボレーションできるというのですから答えは決まっています。本当に、2秒でOKしました。
A:リオンシェフにとって、ゴディバはそういうブランドだったのですね。
R:ゴディバは、ベルギーを代表するショコラブランドとして広く知られています。私自身、ヴィタメールなどで仕事をしていた経験もあり、ベルギーで働いていた時期もありますからわかります。
ゴディバは、100年という長い年月を経てもなお、世界中で存在し続け、同じクオリティを保ち、時代に合わせて進化を続けているブランドです。決して簡単なことではありません。私は深い尊敬の気持ちを持っています。そんなゴディバのクリエーションに関わることができたことは光栄で、エキサイティングな経験でした。
実食して感じた、味わい方の提案
いかがでしたでしょうか。シェフはどんな質問にも、意図を丁寧に汲み取ろうとし、細やかに応えてくださいました。私はまたぜひお目にかかり、パリのお店にも伺ってお話しできたら、と思っています。
そんなシェフの味わい方のおすすめ、お話ををふまえ、実際に味わった私が、楽しみ方を2パターンご紹介します。
①カットして味わう
小さなアイスケーキのようになります。断面の美しさが見られ、くちどけや食感の一体感を感じられます。
コツ:カットに少しコツがいります。シェフによると「冷凍庫から出してすぐの状態でナイフを入れるとよい」そうですが、シェルはやや硬めなので慎重にカットしてください。多少割れても気にせず!)
②スプーンですくって味わう
カカオポッド型のチョコを器のようにして、スプーンですくうスタイル。中身のアイスクリームとソルベを楽しんだあと、シェルのベルギー産ビターチョコレートだけをしっかりと味わえます。

フランスの菓子・氷菓の世界を牽引する、M.O.Fグラシエの感性が凝縮されたアイスケーキです。オンライン販売なので、夏場でもよい状態で自宅に届くのがうれしいところ。
ティータイムや、誰かと過ごすひとときをランクアップしてくれるほか、カカオやチョコレートを愛する方へのギフトとしても喜ばれる逸品だと思います。
100周年アニバーサリー「トレゾール ~3つのチョコレートを楽しむアイスケーキ~」
販売期間:2026年4月13日(月)~ ※なくなり次第終了
取扱:ゴディバ オンラインショップ(https://www.godiva.co.jp/shop/)
価格(税込):7,560円(送料込)
text & photo ジャーナリスト/チョコレートジャーナリスト 市川歩美

