この記事では、キュベルドンって何?と、疑問に思った方のために、なんと、ベルギーのショコラティエ、ピエール マルコリーニさんから直接伺ったお話とともに、まとめてお届けします。
キュベルドンとは?
まず、マルコリーニさんと私が、先日お話した内容をシェアします。
市川歩美(以下A):マルコリーニさん。キュベルドンとはどんなものですか?
マルコリーニさん(以下M):キュベルドンは、20世紀初頭に生まれたといわれるお菓子で、ベルギー北部のゲントで生まれた特産品です。砂糖を使って作る砂糖菓子で、作り方としては、デンプンの粉をしいて、まぶすプロセスがあります。口にすると、外側はカリッとしていて、中はやわらかい食感です。
A:かりっとした外側の中は、どんなものが入っていますか?
M:とろりとしたリキッド状のものが入っています。もともとフランボワーズや、カシスなどが伝統的な味なんですが、今は色々な味があります。それにしてもキュベルドンはとても甘くて、そうですね、多分ベルギー以外の人には、全く受け入れられないかもしれないほど(笑)甘いお菓子です。
A:どんな世代が食べるんですか?
M:子供のためのお菓子ですね。大人が食べるとしたら、子供の頃の思い出として。
A:甘いものを、子供の頃を思い出して食べるということ、ありますよね。ところで、キュベルドンのお値段はどのくらいですか?
M:安いですよ。街などでは、よく量り売りで売っています。パッケージに入ったきれいなものも売られていますが、クラシカルなものは量り売りですね。ここのところ、キュベルドンの人気がちょっと復活してきているようです。
A:マルコリーニさんは、子ども時代、キュベルドンがお好きだったんですか?
M:そうですね……(と少し考え)私の子どもの頃は、チョコレートの方が好きでしたけど(笑)どう食べたかというと、チョコをパンのうえにのせて食べるのが美味しくて、好きでした。
A:え、私もそのスタイルが好きでした。よくパンにチョコをのせてかじっていたんです。考えてみればマルコリーニさんはショコラティエだし、私はチョコのジャーナリストをやってるくらいですし、子どもの頃からチョコ好きであって然りですね。
通訳さん&一同:(頷きつつ)そうですよね(笑)
キュベルドンとは?
キュベルドンは、液体状の甘いシロップ入りの砂糖菓子で、ベルギー北部のゲントをルーツとする伝統菓子です。
形は小さな円錐型。お店には、カラフルなキュベルドンがきれいに整列していて、眺めているだけでかわいい砂糖菓子。
カリッとかじると、なかからとろりとシロップが流れ出ます。ベルギー以外では、このテクスチャーがすぐに変わってしまうことから、なかなか味わえません。
子どものためのお菓子、とのことでしたが、マルコリーニさんがおっしゃっているように、今ベルギー国内で少し流行り始めているようで、大人も楽しめる、様々な風味のキュベルドンがあるようです。
私はベルギーへ何度か取材で出かけていますが、私にキャンディーを味わう習慣がないので、全くノーマークでした。次回ベルギー訪問の際は、買ってみます。
ワッフルやスペキュロス、といったよく知られたベルギー菓子だけでなく、キュベルドン、というゲント生まれのベルギー菓子があること。それを日本に伝えてくれたという価値も、私は個人的に感じました。
みなさんも、ベルギーへ出かけたら、かわいい砂糖菓子「キュベルドン」を探して味わってみましょう。
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チョコレートジャーナリスト 市川歩美