帝国ホテル 東京「カカオショコラ」バナナとカカオが出会う

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こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。

前回(2019年)のサロン・デュ・ショコラ東京で、第一弾を購入したチョコファンが多いかも?帝国ホテル東京のシェフ、市川幸雄シェフによる「カカオショコラ」の最新作が、この夏登場しています。

目次

帝国ホテル 東京「カカオショコラ バナーヌ」

カカオの実の形をしたチョコレート「カカオショコラ」のミニバージョン。(カカオショコラ詳細)夏のギフトに利用される方が多いそうです。

私は、新作の「カカオ&バナナ」というトロピカルフルーツのコンビネーションから、夏らしさを強く感じました。

それにしても、チョコレートの原材料「カカオ」の存在が、一般に浸透してきていますね。(チョコレートジャーナル読者なら、もうそういう方ばかりでしょうけれども!)

そんな中でのカカオモチーフ。そして夏チョコ。帝国ホテルで腕をふるうショコラティエ、市川幸雄シェフによる最新の表現という点でも、注目したい逸品です。

カカオ型チョコレートの中に、バナナが香るカカオ豆が4粒

手のひらサイズの、オブジェのような小さなカカオ型チョコレートは、ひとつひとつ色付けされ、本物のカカオのようにリアル。

カカオの実型チョコレートを割ると、4つのアーモンドチョコのようなチョコが4粒。これらはローストしたコロンビア産のカカオ豆で、バナナ風味のカラメルとミルクチョコレートでコーティングされています。

カリッとした食感とともに、バナナの香りがはじけます。ローストしたカカオ豆の、カリッ。特にキャラメリゼとカカオ豆の皮をあえて除いていないための、カリカリッ。これが私は、どこかリアルな野性味を感じるので、好きです。

バナナの果肉を加えて発酵させたカカオ豆を使ったチョコレートを使用

ちょっと専門的な話になりますが。

市川幸雄シェフによると、チョコレートはヴァローナ社の「キダヴォア」が使われています。

自然発酵終了後のカカオ豆にフルーツの果肉を加え、二度目の発酵を行うのは、ヴァローナ社独自の技術(キダヴォアの場合はバナナの果肉です)。チョコが持つフルーティなバナナのアロマは、カカオ生産国で、豆の段階からすでについているということになります。このチョコレート自体の風味は、外側のカカオの実だけを味わって感じてくださいね。

帝国ホテル 東京「ガルガンチュワ」

カカオ生産国へ思いを巡らせつつ

カカオ生産国へ取材に行くとわかりますが、カカオのそばには、バナナがあります。

バナナはカカオの木のそばでシェーディングツリー(日陰を作るための木)になっていたり、バナナの葉はカカオの醗酵に使われる他、日常的にはお皿替りに、また何かを包むために使われていたりと。

私の中で、バナナとカカオは、同じ暑い国に、同時に存在しているものです。

そんな話をしていると、本当に、私の中で、カカオ生産国への思いが募ってきます。実は、今年の私のカカオ生産国取材予定は、コロナの影響で全て中止となりました。残念ではありますが、次回を楽しみに。こうしていても、心はカカオが育つ国。カカオ生産国の現状に、日本で思いを巡らせての夏です。

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チョコレートジャーナリスト  市川歩美

追記:
帝国ホテルの市川幸雄シェフは、2007年のクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーで優勝した日本代表チームのメンバーです。ピエスモンテをご担当された市川シェフのチョコレートの細工は世界レベルです。というようなお話は、長くなるので次回に!

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