東京とパリの人気ショコラティエール♡メグミとエミコの物語(text Ayumi)

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こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。

私は、このおふたりとお話するのがいつも楽しみ。ショコラティエールのメグミさんと、エミコさんです。

目次

佐野恵美子(エミコ)さんと廣嶋恵(メグミ)さんは人気ショコラティエール

チョコレートファンには、お馴染みのおふたりですね。

パリにチョコレート店「Les Trois Chocolats(レ・トロワ・ショコラ)」の、佐野 恵美子さん。
東京・自由が丘にチョコレート店「Le petit bonohur(ル・プティ・ボヌール)」の、廣嶋 恵さん。

パリの佐野恵美子さん(左) 自由が丘の廣嶋恵さん(右)

おふたりは、日本で人気のショコラティエールです。
(ショコラティエールは女性、ショコラティエは男性)

ジャーナリストの私(市川歩美)が恵美子さんと会うのは、主にパリ。パリを訪れるたびにマレ地区にあるお店を訪ね、その度にお話が尽きることなく盛り上がります。

恵さんと会うのは東京です。以前はお店が大阪にあったので大阪でも。今は東京(自由が丘)にお店があるので、時々出かけます。その度にこちらも話がはずみ、毎度つい長居してしまうんです。

恵美子さんのお店「レ・トロワ・ショコラ(パリ)」のショーケース

パリと東京の、人気エリアにチョコレート店をオープンしたお二人は、ショコラティエを目指す方の憧れかもしれませんね。

そんな有名なお二人。実はあまり知られていませんが、親友同士で、フランスで一緒に製菓を学んだクラスメイトです。だから、お二人は私に会うたびに、こんな話をするんです。

メグミさん(東京にて)「あゆみさん、エミコは本当にすごいんですよ……」
エミコさん(パリにて)「メグミちゃんがいなかったら、今の私はないですね……」

パリで、東京で、お互いのそんな一言を耳にするたび、私は本人に「こういってましたよ」と伝えたくて、パリと東京の間を「伝書鳩」のごとく伝言していたんですが、ついに昨年3人の時間が実現したのです!

もりあがった3人は、いつまでも話が尽きず、気づけば、お店が閉店時間に(笑)

そのときの様子と、お話を一部を、記事にまとめてみました。

エミコとメグミとチョコレートをめぐる物語

チョコレート職人になろうと、夢と希望を持って、フランスへ出かけたふたり。

お菓子作りが大好きで、会社を辞めてフランスへいった元OLのメグミさんと、福岡の有名チョコレート店に生まれ、店を継ぐため意を決してフランスへいったエミコさん。

そんな境遇の違うふたりが、フランスで出会い、東京とパリにチョコレートのお店を開く素敵なお話。

こんなドキュメンタリーがあれば、きっと女性たちの励みになると思い、記事にしました。ドキュメンタリー映像も良いな、と思うんです。メディアのみなさんに、実は私に余裕があれば、チョコレート業界のためにも、ご提案したいくらいのなので、気になるメディアの方がいたら、いつでもご連絡くださいね)

というわけで、このあとはお二人のストーリー。佐野恵美子さん=エミコさん 廣嶋恵さん=メグミさん、でお届けします。ではおふたりとアユミ(市川歩美)のおしゃべりの、はじまりはじまり。

ふたりの出会いはフランス

恵さんのお店「ル・プティ・ボヌール」のショコラ
Ayumi

お二人と同時にあうのって、初めてですよね。しみじみうれしいなぁ。改めて聞きたいんですが、エミコさんとメグミさんの出会いはいつ、どこだったんですか?

佐野恵美子シェフ(以下Emiko)– あれは、えーっと……2008年ですね。

廣嶋恵シェフ(以下Megumi) - すごい、よく覚えてるねえ!

そうか、もう10年前なんだね。そう、場所はフランスの「トゥール」です。トゥールはロワール地方。パリから電車で1時間くらいのところにあります。語学学校とお菓子の学校が提携したプログラムがあって、私たちはそこの生徒として一緒になりました。

Ayumi

いまから10年くらいまえですよね。当時は、どんな気持ちでフランスへ行ったんですか?

Megumi - 私はOL時代からお菓子作りが大好きすぎて、いつまででも作っていたいほどで。お菓子の教室をやりたくて勉強のためにフランスへ渡ったんです。

Emiko - 私は、実家のお菓子屋(福岡「チョコレートショップ」)を継ぐ覚悟でフランスへ行きました。でも、全く!お菓子を作ったことがない状態だったんですけどね。

Ayumi

実家がお菓子屋さんのエミコさんはお菓子を作ったことがなくて、OLだったメグミさんはお菓子をたくさん作っていたんですね?

Emiko― はい、全然なかったですよ。実家がお菓子屋ですから、自分が作らなくてもお菓子、家にあるんですもん。高校生のときに彼にあげるチョコレートも、実家の生チョコの切れ端をとってきて丸めただけ。それで「やっぱりショコラティエの娘だね」なんて褒められてりしてました(笑)

Megumi ー いやーほんとです。エミコはお菓子を作ったことがない人だ、って、私はすぐにわかりました。びっくりしたんですけど、でもそれってすごいことだな、と。だって有名なお菓子屋さんの娘で、後継者になる人ですよ?「ケーキ屋さんの娘」はお菓子作りをやらないものなんだな……と思いました(笑)

Ayumi

ということは、今やパリで店を開いたエミコさん、10年でだいぶ成長したんですね?

Megumi ー そうですよ!すごい変化です。もう今やエミコはもうすごい人ですよ。エミコが出るテレビとかチェックして、私は今はもう、エミコのいちファンです。なんていうんですか・・・エミコの活躍がもう嬉しくて。・・・わかりますか?この気持ち……。

エミコさんは「7RULES」に出演して話題に

Emiko― 本当にフランスに行った最初は私、酷かったんですよ。お菓子作りに「全然才能ないなー」と思ってました。

最初の授業で「ダミエ」柄のクッキーを習ったんだけど、手際が悪いからクッキー生地が溶けちゃって。1センチの正方形に切った生地を、4つ丸めて形にしたら、手の中でダラダラになって、ダミエどころか「スパイダーマン」みたいになっちゃった!!

Megumi ー あーあれは「ダミエ」じゃなかったねー(笑)

Emiko― 間違いなく「スパイダーマン」でした。

参考までに
Google検索→「ダミエのクッキー」
ちなみに→「スパイダーマン」(笑)

フランスでチョコレートを学ぶ恵美子さん。貴重な写真!

Megumi ー そうなんですよ。授業で、ぱっと横を見ると粉まみれのエミコがアワアワしてたりして。大変でした。ただ、エミコはすごくセンスがよかったです。

アントルメの授業でフルーツを上に飾る時。先生のお手本もみんなも飾り方が大抵同じ感じだったのに、エミコだけセンスが爆発していました。フルーツの飾りがアートだった。他の子と違うんですよ。「この子は絵が得意なんやな、受け継いだセンスがあるんやな」と私は思ってた。そして、エミコは私が思ったとおり、めきめきと力をつけていきました。

フランスで一緒にすごした日々

Ayumi

一方で、エミコさんからみたメグミさんは、いかがでしたか?

Emiko― メグミちゃんはね、お菓子作りが本当に好きなんですよ。心から好きなんです。「ずるいな」と思いました。

だって私はパティシエになるためにフランスに来たから、家にいるときにお菓子を作るという考えはなかった。好きなことはライブや飲みに行くこと、他にもいっぱい好きなことがあるのに。メグミちゃんはお菓子作りそのものが好き。その差って埋まらないなーと。好きを職業にする人はすごいな。メグミちゃんはいつも「お菓子が大好き」って顔をして、お菓子を作っていたから。

Megumi ー そうですね。私はあの頃もお菓子作りが大好きで、ずっとやっていたいと思うくらい。エミコと私は、家が隣同士だったんです。小さな部屋に、オーブントースターみたいに小さいオーブンを借りてきて、それで何とかマカロンを作れないかな、って考えたり。難しいことでしたけど、それが楽しかったです。

Emiko― あの頃は、メグミちゃんといつも一緒にいた。学校が終わると、パリと違って田舎だからで遊びに行くところもなかったしね。年が一つ違いだったし、話があうし居心地がよかった。

私はお菓子がいつもうまく作れなくて「向いてないや」と思ってばかりいたけど、「お菓子は楽しいんだよ」ってめぐみちゃんからいつも教えてもらってたから、今の私があるんです。ライバル意識がなくて、楽しくやろうっていう雰囲気をいつも作ってくれて、それを味わえていたから、私はお菓子を嫌いにならなかった。

Megumi ー そうだね。マジパンの人形作りを一緒にやったりしたね。エミコの家に一週間泊まらせてもらって、一緒に学校にいったりね。トータル1年くらい一緒だったのかな。

Emiko― 高校生に帰ったみたいで楽しかったな。メグミちゃんは、私が何をやっててもすごいね、って褒めてくれて。

Megumi ー いや、本当にエミコはセンスを持ってるんですよ。ピエスモンテを作る授業もすごく頑張っていたし、パック(イースター)のチョコレート作りの授業ではチョコレートの「カエル」を作るのが本当に楽しかったの、覚えてる。

ふたりで夢を語った日々

Megumi ー 私はその後、パリへ行って地方のパティスリーを点々とすることにしました。

Emiko― 私はフランス南部へ行ったから、年に1~2回、メグミちゃんのいるパリに遊びにいったり。一緒に旅行にもよく行ったね。

Megumi ー ふたりでニースに旅行したときには、「海が見えるきれいなところを2人で借りて、私はお教室をやって、エミコはお店をやって」なんて夢を話したね。

Ayumi

エミコさんは、フランスでのお仕事に、どんな気持ちで向き合っていたんですか?

Emiko―自分は、店に入らずに来たから、店にいる職人と対等に話すためにはとにかく頑張らなくちゃ、と思っていました。父からも「そうでないと相手すらしてもらえんぞ」ときつく言われていました。彼らを超えないと私は認めてもらえない、私しかできないことをやらないと、うちの店の三代目を継げないなと思って、真剣でした。

Megumi ー エミコにあったときから「この子は背負っているものが大きいんだな」とすごく思った。私は好きで来てるだけだけど、エミコはすごい。結構エミコが口にしていた言葉が「こっちでフランスで賞をとるまでは帰れない」。

だから、2015年に「ラ・プティット・ローズ」にいたエミコが作ったショコラがCCCで「ベストショコラティエール」を受賞したときは私は本当にうれしかった。スパイダーマンみたいになった「ダミエ」の頃からエミコを知ってる私は、エミコがどんなに頑張ったかがわかるし。明るいから「私努力してます」ってあまり見せない子だけど。

Emiko― 努力~?そんな~、してないよ~~

Megumi ー いやしてるって!

Emiko― 自分が努力してるとか、つらいとか、私は考えてないですね。でも、そうだなー、フランス語を、ジブリ映画を見て勉強したり、深夜1時から朝まで一人でショコラを作ったり、思い返すと相当頑張ったかなとは思う。

そうだ、ある時、キャラメルが焦げたクッキーを作っちゃって、先生に「これはチョコクッキーです」ってごまかしたら、先生が「エミコ、フランス語上手になったな」と言ってくれた(笑)。これも10年続けてきたからかな。

「レ・トロワ・ショコラ(パリ)」

ふたりのお店が、パリと自由が丘にオープン!

Ayumi

2015年1月、帰国したメグミさんが大阪にお店をオープン、エミコさんはパリにお店を2017年にオープンしましたね。

Megumi ー はい。今は自由が丘にお店がありますが、最初に私がお店をオープンしたのは大阪でした。そういえば、私が大阪にお店をオープンするとき、エミコがパリから帰国していて、オープン前の機材搬入のときに、お店に来てくれたんだよね。

Emiko― ああー、あの時は正直、「メグミちゃん、こんなとこでやるの??」と思った(笑)ディープな感じのとこだったよね。何でここにしたのか……と思ってた。

Megumi ー 大阪でもあまりチョコレート屋さんがあるイメージのところではなくて、確かに人にはよくディープ、とか言われました(笑)でも居抜きだったし、直感でここにしちゃえ、と思って。まずはなるべくお金をかけずに、とお店を始めたんです。その後、大阪のお店を移転して、自由が丘に2018年1月に今のお店をオープンしました。

自由が丘の「ル・プティ・ボヌール」。フランス語で「ちいさな幸せ」という意味
Ayumi

パリのエミコさんのお店について、メグミさんはどう思ったのですか?

Megumi ーエミコがパリ(マレ地区)にお店を開くと聞いて、お店の写真をみたときは「めっちゃいいやん!」と思いました。石壁も素敵。いいやん!!って。いやーもう、ついに、エミコやるんや、凄いと思いましたよ。でもパリは日本と全然違います。ことは思うように進まないだろうし、パリはお金もかかると聞いていたし……

Ayumi

メグミさんもパリにいたからこそ、日本との違いがわかるんですよね。

Megumi ーそうです。日本なら言葉も通じるし、あとはパリは日本としくみがぜんぜん違いますから、日本でやったほうが楽なのは目にみえてわかる。

Emiko― そう。実際問題しかおきませんね(笑)ぜんぜん思った通りにいかない。

例えば、パリの店のオープン3日前に、いきなり店の前でどーんと、大きな道路工事ですよ。シャベルカーがどーん!と置かれて店のオープンなのに、お客さんが入れなかったり。困る、とか何を文句いっても「それはきまりだから」で終わりです。

なんの前触れもなくお店の前が大工事とか普通(パリ)

Megumi ー そんな感じでエミコはすごいんです。私は自分がやりたいようにやっているけど、エミコはいつも「チョコレートショップ」(実家の菓子店)のことを考えてやっていると思うと、すごいなと思う。すごい、以外のボキャブラリーがあんまりないんですけど(笑)やりたくてやってる人とは全然ちがう。エミコはより多くのことを考えている。日本で催事に出たりコラボとかいっぱいやったり、テレビにもよく出るじゃないですか。活躍しているのがうれしくて、なんか普通に感動して見てます。

Emikoー メグミちゃんは褒め上手だからほんと気持ちいい!この人って、昔からこんなふうに、私を本気で褒めてくれるからすごく気分がいいんですよ。いつもハッピーな気持ちになれて。うれしい。

お互いのチョコレートについて、どう思う?

Ayumi

お互いのチョコのことを、どう思いますか??

Emiko― お互いに表現の仕方が違いますよね。メグミちゃんは私が作れないチョコを作ってる。嫉妬ですねー。

Megumi ーパリにあるエミコの「レ・トロワ・ショコラ」では、日本らしさを大事にしているんだろうなと思います。フランス人にも受け入れられるように、考えて作ってるんじゃないかなと思う。

私の場合は「この味を受け入れてほしい」と思っていなくて、美味しいフルーツが入ったからチョコにしようかな、というような感覚で作っています。つまり好きなものを作り続けて今の私のチョコレートがある。エミコのチョコレートは、フランスで日本人がやっていく、ということがベースで、フランス人がどう喜ぶかを考えてある。

Ayumi

お互いの、どのボンボンショコラが好きですか?

Megumi ーレ・トロワ・ショコラのボンボンの「きな粉」は美味し~いと思いました!「ミントティ」(ミントと八女の緑茶をあわせたショコラ)もすごくいいですね。

Emiko―メグミちゃんの「ル・プティ・ボヌール」のショコラは、なんでしょうね、フランス人からするとこれはショコラじゃない、というものもあるんですよね。作りとしては、あのツヤと薄さ、何層もあのゆるさでやる(ボンボンショコラの中身)のは大変な作業だと思う。あんな小さいショコラに細かい細工をして、凄いなと。あれはメグミちゃんだからこそできる。

マシュマカロン。中はマシュマロとフルーツのソースが2層に

Megumi ー 実際確かに「チョコっぽくない」といわれるし、私もデザートっぽいと自分で言ってる。

Emiko―「マシュマカロン」はいいですね。名前と見た目もいいし、味もいいし、絶対売れると思う。あとお店は自由が丘で、凄くいい場所にありますよね。うちもそうですけど激戦区の隅に出す感じ。そうすると徐々にお客さんが増えていくと思うんですよね。東京とパリ、似たようなところにお店を出してますよね。

お互いに、どんな存在?

Ayumi

お互いに、どんな存在といえるでしょう??

Emiko― メグミちゃんからは、いつも刺激をもらっています。「私も頑張らなあかんわ」と思います。……でもいつもちょっとむかつく(笑)ショコラが美味しくて嫉妬しますね。あれは私には表現できない味だから。

あとはメグミちゃんはあれから10年たった今もお菓子作りが好きな人。やっぱりずるいと思いますね。あ、もちろん私も好きですよ、だけどショコラティエは祖父からやってる仕事で家のこと。だから、趣味を「チョコレート作り」とは言わないですよ。

Megumi ー 私は趣味はお菓子作り。だから、お菓子をやめたらもう趣味がないんです。

Emiko― こんなに全身で好きっていうのを間近で感じると、私もまた頑張ろうと思う。

Ayumi

これから、お互いに、どうなって欲しい、と望みますか?

Megumi ー エミコには、どんどん突っ走ってほしい。日本の女性で「ショコラティエとしてパリでお店やってみたいな」という人が「こういう人になりたいな」と思う、憧れになってほしい。・・・それで私との関係はこのままでいてほしい。

Emiko ― そらそうやろ(笑)

Megumi ー えー、あんまり遠くへいかないで。これからも連絡をとって、エミコがパリから帰国したら会いたいなと思うし。

Emiko― 私は、おばあちゃんになっても、メグミちゃんに「すごいね」って褒めてほしい。こんなに心地よく褒めてくれる人は、どこにもいないから。私の「ゼロ」から知っている人は世界で数人しかいません。「頑張ろう」って、なれるんです。

メグミちゃんはお姉ちゃんみたいな存在で、何でも一歩先をやっています。お菓子は最初からうまく作れたし、日本に帰ってシェフになったのも私より先、お店を開いたのも先。いつもいつも私の一歩先の人を行く人なので、女性としてもショコラティエールとしても、これからもずっと活躍してほしい。

Megumi ー おばあちゃんになっても、あの頃はよかったなあっていいたい。

Emiko― そうだね。

eh

ここで、おふたりをよく知る、シンゴさんの証言

ところで。実は、お二人をよく知る、フランス時代のお仲間がいますので、お話を伺ってみましょう。シンゴさん、という方です。よくフランスでは3人で旅行もしたのだとか。こっそり、シンゴさんにもお話を伺いました。

ーシンゴさん、出会った頃のエミコさんはどんな人でしたか?

エミコはですね、鼻に粉つけて真剣に「ダミエ」を作ってましたよ。うまくできてはいなかったけど、感覚がすごいぶっとんでいて、この子すげーなと思ってみてました。ケーキのフルーツの飾り方もすごくて、先生から渡されたフルーツの飾りを全部使い切ってたのはクラスで恵美子だけ。迫力があって、この子他と違うよなと思ってました。

ーでは、出会った頃のメグミさんは?

メグミはもう、最初会った時から、ひたすら何かを食べてるひと。チーズとかパンとか美味しいものにとにかく強い興味をもっていて、いつも何かを食べていた。あとは「これ食べる?」みたいな感じで、よく自分が作ったものを持ってきて配ってましたね。お菓子作るのが好きだから、作る量が多くて「さすがに食べれんわ」とかって(笑)すごい量持ってきてましたよ。

―シンゴさんが知る、お二人の魅力ってなんでしょうか?

エミコとメグミの魅力は愛されるキャラです。誰もが欲しくても身につけることができない天性の能力を持っているのかもしれません。だから人に恵まれているんです。そしてふたりは突き進んでいくところがいいところです。「これやるわ」となればすぐにやる人たちです。

シンゴさん、ありがとうございました。
ところで、フランス時代に仲が良かったという3人組、ですが、実はその後、シンゴさんは、メグミさんとご結婚されたんです。そして3人は今も親友同士。素敵ですよね〜。シンゴさん、心優しくて素敵な方です。

ボヌール
ショコラへの愛があふれていておいしそう(「ル・プティ・ボヌール」にて)

ショコラティエは女性に向く仕事

メグミさんとエミコさんは、チョコレートを作る仕事について、こう口を揃えます。

「チョコレート店はケーキを商品としてない、あるいはケーキはメインではない。その分比較的朝が早くなくても大丈夫」。自由が丘のメグミさんは8時半に出勤してチョコレートを並べてお店を開けます。パリのエミコさんの出勤は、9時。

朝が遅ければ、お子様がいても子供を送迎してからも仕事ができるし、体力的にも重い素材を運ぶ作業も比較的少ない。計画生産ができ、小さな場所でお店ができるのも特徴だとか。

世界の代表都市で活躍するふたりをみて、日本のショコラティエール(女性のチョコレート職人)がこれから増えていくかもしれません。

おわりに

いかがでしたか?

チョコレート職人への夢は同じ。福岡から三重からフランスへ渡り、出会ったふたり。

「お菓子作りが何よりも大好き」なメグミさんこと廣嶋恵さん。そして「有名チョコレート店の娘として生まれ、3代目として立つために」と取り組むエミコさんこと、佐野恵美子さん。

パリと東京、距離は離れていても、いまもお互いを応援しあい、美味しいチョコレートを作り続けています。

人気ショコラティエールとなったおふたりですが、まだまだストーリーがあるので、機会があればまた次回。

パリのお店で、恵美子さんがお客さまに「東京の自由が丘で親友がお店をやっているからいってみてください」と話す姿も、自由が丘のお店では恵さんが「パリで私の親友がお店やってるんですよ、いってください」と話している恵さんのことも、私はそばでそっとみてきました。

読者のみなさんもどうぞ。パリならエミコさんのお店へ、自由が丘なら、メグミさんのお店を訪れてみてください。

<チョコレートに現れる個性>
お二人のチョコレートは、個性が全く違います。見た目も作りも、味もテクスチャーもそうで、姿勢やキャラクターが現れているようにも見えます。そしてそれぞれの美味しさがあります。チョコレートに現れた作り手の個性を、お店に足を運んで感じてください。チョコレートを一口ほおばれば、あなたにもそれがわかるはず。

また続きがあるかもしれません。おたのしみに。

DATA
佐野恵美子さんのチョコレート店
Les trois chocolats (レ・トロワ・ショコラ)

廣嶋恵さんのチョコレート店
Le petit bonheur (ル・プティ・ボヌール)

オンラインでも買えます

*メグミさんのチョコレートは、「ル・プティ・ボヌール」のオンラインショップで買えます。

ル・プティ・ボヌール オンラインサイト

*エミコさんのお店はパリにあります。福岡にもお店があり、パリのチョコレートを買えます。

Les trois chocolats Paris 公式サイト

関連記事:以下の市川歩美執筆記事に、エミコさんが登場します、

text チョコレートジャーナリスト 市川歩美 

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