「ノリコ-ショコラ」が派手じゃないのにひびく理由

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こんにちは。チョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーターの市川歩美です。

今日は私が毎月ここのところ楽しみにしている、山崎則子さんによるチョコレートについて書きます。

目次

ノリコ-ショコラの新しいチョコレートの届け方

「ノリコ-ショコラ」という、ブランド名です。ショコラティエールの山崎則子さんが、チョコレートを手作りする、というブランドで、毎月注文があった分だけ、チョコレートを作成。オンラインで注文を受けて配送するスタイルで、店舗はありません。

「ボンボンショコラは、お店のショーケースにいつも同じものが並んでいてそれを買いに行く」

そんな感覚の方が多いと思いますが

  • 毎月注文があった分だけ作る
  • あらかじめ必要、と表明した人に向けて届ける
  • 毎月違うチョコレートが届く
  • すべてはショコラティエール本人の丁寧な手作り

ノリコ-ショコラは、こういうスタイルです。

派手さがなく、キメキメ感がなく、むしろトーンとしては静かなのが新鮮です。山崎さん自身によるハンドメイドの新しい表現に直接触れられることも、チョコレート愛好家である私の静かな楽しみ。

ノリコ-ショコラのメイン商品は、5個入りのチョコレートボックス「新月ショコラ」。

毎月、テーマに基づき、異なる5つのチョコレートが作られ、新月の頃に配送されます。新しいことを始めるのに良いとされる新月の日を、気分よく迎えてほしいという意味があるのだそう。

チョコレートの美しいデザイン、素材選び、仕込み、組み合わせもご本人によるもの。パンフレットのメッセージを書くのも山崎さん。

おとりよせネットに市川歩美が書いた記事はこちら

詳しくは
市川歩美が「おとりよせネット」の連載で書いたこの記事へ。

ノリコ-ショコラは、私個人の味の好みや、センスにあっているみたいです。毎月のショコラの進化や変化を、ほほう、今月はこうきましたかなどと言いながら、楽しんでいる私がいたりして。

4月の新月ショコラから、特に気に入った3粒

上の写真は、4月の新月ショコラを、代表して3粒。

左)トンカ豆とアマレットを使ったキャラメル入り
中)文旦、レモン、みかんを使ったガナッシュ
右)ラズベリー、フィグ、くるみ、ライチリキュール入りのガナッシュ

私好みで、洗練されています。

奇をてらって珍しい素材を入れたり、強めなアピールがあるわけではないけれども、繊細なバランスから、山崎さんの感性が届きます。

作り手の感性が行き届いたチョコレート

あとは、ノリコさんの原点が私にはわかりやすいです。

「チョコレートを作る理由は、私がおいしいと思うものを作って、それをみんなにも食べてもらいたいから。そしてみんなに喜んでもらいたいから」とノリコさん。

ふーんと、当たり前に聞こえるでしょうか。でもこのことがピュアに、いわばこの言葉どおりに、まっすぐ実感として私に届くことは、そうたびたびはありません。

作り手のセンスがまっすぐ伝わってくること

1990年代前半に、私はチョコレートをアートと並列で捉えたのを機に、愛好家になったように思います。

そのため、みずみずしいインスピレーション・センス・表現を、チョコレートから感じらると、みるみるうちに私は元気になり、そうではないと、なんだか私は元気がなくなってしまうのです。

どんなすごいPRだろうと、大袈裟にアピールされようと、感じるものがなければ、元気がでない。

コンビニで買えるチョコレートも大好きですが、作り手のセンスから生まれ出たもの、技術を使って丁寧に作られたものもよいですね。

人のセンスと技巧が行き渡り、「作る」ということに、価値や意味を見出せれば、チョコであろうと「作品」ではないでしょうか。

日常、気楽に食べるチョコとは違う、鑑賞するように食べるチョコレート。感性がびしっと現れた豊かなチョコレート。そういうチョコレートは大抵は、静かです。

チョコの愛好家として、ジャーナリストとして、派手でなくても美しいチョコレートを見守り、お伝えたいです。

追記:2021年バレンタインのノリコ-ショコラも、すべてノリコさんの手作りです。「箱の裏の表記が、別の会社名になっていた」という話を聞いて確かめたところ、その会社のアトリエへノリコさんが通って作っていたから、とわかりました。

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チョコレートジャーナリスト  市川歩美

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